内容説明
被ばくして売り物にならなくなった家畜を、自身の被ばくを顧みずに守り続けている農家―それが本書の主人公であり、“希望の牧場・ふくしま”プロジェクト代表の吉沢正巳だ。「原発一揆」は吉沢本人の言葉だが、一揆の首謀者は、最終的に打ち首か切腹となるのが世の常。果たして、吉沢が迎える結末は…。
目次
“3.11”眠れぬ夜を過ごす
「政府は情報を隠している」
浪江農場は、もうおしまいだ
単身、東電本店に乗り込む
国による棄民政策への怒り
一回のエサの量は約五トン
警戒区域設定と殺処分指示
「家畜の衛生管理」で許可証を得る
動物救済をめぐる駆け引き
牛舎に残された子牛を救出〔ほか〕
著者等紹介
針谷勉[ハリガヤツトム]
1974年生まれ、栃木県出身。映像ジャーナリスト。APF通信社所属。ニュース番組のテレビディレクターとして、おもに国内の事件、事故、社会問題などを取材。オウム真理教や、ビルマで2007年に銃殺された長井健司記者(APF通信社所属)の追悼取材がライフワーク。2012年4月23日から非営利一般社団法人“希望の牧場・ふくしま”の事務局長を務めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りお
11
搾乳の為に柵の間から頭を出した状態で繋がれて、そのまま餓死した牛達の写真が衝撃的でした。 干からびた牛達がズラッと並んでる、どんだけ苦しんで飢えて死んだんだろうと考えると牛が可哀想で仕方なかったんだけど、牛を放して避難すれば、牛が餌を求めて他所の家に侵入して迷惑を掛けるかもしれないと、泣く泣く繋いだまま避難した人もいるそうです。どれだけ葛藤したことだろう。 当事者じゃない奴が牛が可哀想とか簡単に言っちゃいけないんだな。2015/01/03
sasha
4
福島第一原子力発電所から約14km。警戒区域内にある牧場「希望の牧場・ふくしま」で国が決めた殺処分を頑なに拒み、被曝した牛を生かし続ける道を選んだ人たちの記録。中心になっているのは同牧場の代表・吉沢正巳氏。彼が頑固なまでに牛たちの命を助け、守り続けているのか。その背景を垣間見た。尚、殺処分を決断しなければならなかった飼い主たちの苦渋もわすれちゃいけいない。そんな人々を非難する一部の動物愛護家って…おかしいわ。2016/01/05
chietaro
3
報道されていない福島の話が多いと思います。線量が高い地域にも関わらず動物の命を守るために動いている人々、福島の現状を伝えるために動く政治家、知らなければいけない実態や苦しみがたくさんありました。解決は相当長い時間をかけても難しいと思います。ただ、事実を知ることや伝えることが大切だと思います。いつか吉沢さんの話を聞きたいです。2018/02/12
Masao
2
この本の写真を見るだけで、現実のすさまじさが伝わってきます。もはや経済的価値のない家畜を飼育しつづけることの意味。いのちとか酪農家の意地。自分は本当には理解できないのだろうけど、でも読まなきゃいけない本だと思いました。2017/05/06
Daisuke Oyamada
1
テレビでは絶対紹介出来ないであろう、悲惨な写真がたくさん紹介されています。それらを見るだけで、悲惨な現実がひしひしと伝わって来るようです。 経済的価値のない牛を生かし続ける意味があるのか。生かしたい酪農家と、処分を要請する行政。 家族のように育てた牛を見捨てることは許さなかった。決断したのは、なんとか牛を生かし続けること。その苦しむ様子が赤裸々に描かれております。 「原発一揆」は牧場主本人の言葉だという。 一揆といっても暴動を・・・ https://bit.ly/3Ab66p22022/10/29