内容説明
西洋と東洋、クラシックとジャズ、ピアノと作曲―ふたつの世界をさすらう魂の音楽家、トルコの天才ピアニスト初のバイオグラフィー。
目次
テンペスト・ソナタ―舞台の上のファジル・サイ
国境なき演奏―アンカラでの幼少期
ドイツ夏物語―デュッセルドルフの学生生活
シェーネベルクからの眺め―ベルリンでの修業時代
アメリカン・ドリーム―コンクール制覇とその後
イスタンブール、我が愛―愁える街のさすらい
七つの丘を越えよ―“イスタンブール交響曲”
「ファジル・サイは天才です」―ベネディクト・シュタンパとの対話
分裂が育む知性―伝統と進歩に揺れる国、トルコ
「いつの日も私の故郷は音楽です」―ファジル・サイとの対話1〔ほか〕
著者等紹介
オッテン,ユルゲン[オッテン,ユルゲン][Otten,J¨urgen]
1964年生まれ。たしかな技術を備えたピアニストであると同時に、音楽批評家、演劇批評家としてドイツで活躍。数多くの名高い新聞や雑誌に寄稿している
畑野小百合[ハタノサユリ]
1985年、東京生まれ。国立音楽大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業。東京学芸大学大学院教育学研究科総合教育開発専攻修士課程修了。現在、東京藝術大学大学院音楽研究科音楽文化学(音楽学)専攻博士後期課程在学中。ドイツ学術交流会(DAAD)短期(2009年)および長期(2012年~)奨学生として、ベルリン芸術大学に留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よみこ
16
ヴァイオリン偏愛の私。上手いピアノを聴くとなぜか絶対眠くなる。これだけは一生変わらないだろうと思っていたが、数年前このピアニストのベートーヴェンで、変わった。この人のピアノだけは眠くならない。その謎を探りたくて本書を手に取ったが、そこにあったのは内からほとばしり出るプリミティブでピュアな感性が、宗教や政治問題に絡め取られ苦悩する一人の天才の姿だった。唯一無二の演奏に加え、特筆すべきは作曲家としての並外れた手腕。本書を読んでその理由が少しわかった。イスタンブール交響曲、ぜひフルオーケストラで聴いてみたい。2020/11/10