内容説明
介助という実践のなかから、他者との距離感を計測すること、そして、できることなら、この社会の透明性を獲得すること…。「まるごとの経験」としての介助の只中で考え続けてきた、若き社会学者による待望の単著。
目次
序章 介助、その「まるごとの経験」
第1章 介助者のリアリティへ
第2章 パンツ一枚の攻防―介助現場における身体距離とセクシュアリティ
第3章 ルーティンを教わる
第4章 アチラとコチラのグラデーション
第5章 「慣れ」への道
第6章 出入りする/“介助者”になる
おわりに―「社会の介助性」にむけて
著者等紹介
前田拓也[マエダタクヤ]
1978年生まれ。関西学院大学大学院社会学研究科博士課程後期課程単位取得退学。現在、神戸学院大学人文学部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sabato
4
筆者の長期にわたるフィールドワークと、深い視点で書かれた1冊。大先輩なのだが、年齢は1つ違い・・・すごすぎます。。また、そのフィールドも私の職場と深いつながりのあるところである。読んでいて、ものすごく絵が浮かぶ。社会学的また、論文としての作品でもあるので仕方ないとは思うが、現場の人が読むと「???」が浮かぶこと間違いなしw。でも、福祉系の院生はぜひ熟読を。私は・・・・勉強になった。つもりで、今はいる。。(メモ:pp19,20,49,51,142,223,233,253)2009/11/06
ありたま
3
何度も語られた"両義性"というワードが印象深かった。筆者自身の煮え切らない葛藤を誠実に書いていて好感がもてた。2024/02/12
バーニング
2
おもしろかった。障害者介助の経験が多少なりともあるので、本書の切り口にリアリティがあるのも面白かった。パンツ一枚の攻防とか、ウンコへの慣れ?とか、介助経験者ならうんうんあるよねということの問い直しやとらえ直しの連続。2018/09/23
yocoutad
0
手がかりになる本2011/09/06
ひつまぶし
0
著者が介助者として参与観察した経験から得られた知見。事例の切り口や論の展開が巧みで面白く読めるが、いくつか疑問も。序章で、健常者が「介助者になりゆくプロセス」に着目するとあるが、総体としての介助の場面で必要な技術や配慮、心得の分析ではあっても、一人の介助者が成長していく過程を扱ったものではない。タイトルに社会学とあり、記述の中で社会学的な知識は参照されているが、社会学として何が明らかになったのかはっきりしない。健常者と障害者の非対称的な権力関係から切り離された介助場面のリアリティを語って何が前進したのか。2023/03/14