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みずうみ

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  • サイズ B6判/ページ数 206p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784902943122
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みも

212
熟語をあえて避けたシンプルな語彙で綴る水流のような瑞々しく繊細な筆致は、良くも悪くも現実感に欠けるが、若い時代に「重石」のように抱える喪失感や疎外感や孤絶感といった外界との違和感が、オブラートに包んで散りばめられている。個人的感覚だが高野悦子さんの日記『二十歳の原点』を随所に亘り想起した。柔らかなものを踏みつけ、あるいは飛び越えてきたつもりの僕は、人の思いを汲める「気持ちの暴力が少ない人」になり得ているだろうか。かつての大きな傷が蚊に刺された程度の痒みへと変容している事に気づき、人生の外的な偶然性を思う。2021/08/13

taiko

38
近所に住み、少しずつ近づき、一緒に暮らすことになったちひろと中島くん。 ちひろはお金持ちの父とバーのママとの間に生まれた私生児で、中島くんには語ることの出来ないほど壮絶な過去がある様子。そんなふたりが育む時間。 25年ぶりくらいのばななさん。 苦手意識ありでしたが、やはりあまり入り込めず。 中島くんの過去、ミノくんとチイの存在が、不気味でした。 気持ちの暴力の少ない人という言葉と、自分を持ち、自分の世界にいることの出来るちひろには好感を持ちました。2017/05/18

あつひめ

28
みずうみの透明でほんのり甘い水のような中での物語みたい。自分の親や周りの人間への嫌悪感をおくびにも出さず悶々としているようでそれを第3者的な視線で冷静に見ているちひろ。だからかなぁ・・・だれと接するのも冷静で踏み込んでいるようで踏み込んでいない・・・中島くんの思い出話も中島君も誰かの話をしているように淡々と話す様に感じたのは、誰しもがお互いに比べられないくらいの重いものを抱えているからかも。この本を読んだ人だって・・・大きい小さいに関わらず心の重石を持っている。だから・・読後感が共感できる気がするのかな?2010/09/08

柊渚

27
深い悲しみを抱える彼は、今にも消えてしまいそうで。この世界がどんなに美しくても、どんなに愛を注いでも、その心の重みを支えることは、きっとできない。それでもそばにいたいと夜空に願う、いつか彼が星になる日まで。触れただけでほろほろと崩れてしまいそうなくらい繊細な二人の世界。悲しみをそっと包み込むような、静かな優しさに溢れた物語でした。2021/09/13

アコ

26
複雑な関係の父母を持ち、故郷から離れて壁画を描く仕事をしているちひろ。隣のアパートに住む頭脳明晰な中島くんと距離を縮めていくも、この中島くんの生い立ちこそワケあり。という著者作品でよく見る普通ではないかんじ。単館系の静かな短篇映画を見ているような気持ちで読了。それくらい美しい情景が浮かんだという意味と、あまり残るものがなかったというふたつの意味でそういう気持ち。2019/05/06

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