内容説明
老い、病気、そして災害…人は自分の「死」に直面したとき、一体何をすればいいのか?ギリシア哲学とアドラー心理学を軸に、「死」から「生」を見つめ直す。死の淵の病いと震災を経験した、著者渾身の一冊。
目次
第1章 行く手を遮るもの(生きることは苦しみである;対人関係の悩み ほか)
第2章 老いと病気(老い;ある日突然に ほか)
第3章 死(死を初めて意識した頃;不可避の死 ほか)
第4章 どう生きるか(どう生きるか―限られた時間の中で;うっかり人生がすぎてしまわないように ほか)
著者等紹介
岸見一郎[キシミイチロウ]
1956年生まれ。1987年、京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。現在、明治東洋医学院専門学校、京都聖カタリナ高校、近大姫路大学非常勤講師(心理学、臨床心理学、教育心理学、生命倫理)。専門の哲学に並行してアドラー心理学を研究、精力的に執筆、講演活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かりんとう
33
アドラー心理学研究の第一人者が、自身の経験を通し、生老病死の壁に立ち向かう。生きる上で対人問題は避けられないが、他者は自分の人格の一部を成すと言う。自他の理解に対話は不可欠ながら先入観や属性付与、圧力、権威、権力争い…障害は多い。率直で純粋な対話を心がけたい。病気や災難は神からの試練ではなく、ただ理不尽なもの。不幸を乗り越える勇気こそ、神から与えられし力である。死の不安は予期不安、今に集中すべし。自分の生き方はすなわち世界の有りようであり、世界の未来である。共感と貢献を無限に広げる勇気を持とう。2019/11/01
おおにし
17
「嫌われる勇気」より1年前に出版された本書はアドラー心理学入門書というよりは、哲学的エッセーです。ご自身の病気、両親の死などの回想とギリシャ哲学を中心とした哲学的思索が1冊の本に凝縮されていて、なかなか読むのが大変で感想を書くまで理解できていません。しかし「死」から「生」を考えるというテーマは今の私の関心事ですので、ここで引用されている気になる文献をいくつか読んだ後に是非再読してみたいと思います。2014/06/08
スパイク
7
『嫌われる勇気』を読んで、この著者の他のものも読んでみたいと思って読んだ。考え方の基本はアドラー(心理学)とプラトン、アリストテレス(ギリシャ哲学)。この本のテーマは「死」を考えることによって「生」を考えるということ。人生は、始点と終点のある直線としてみる「キーネーシス」ではなく、今をいきることが人生であるという「エネルゲイア」であるという。そして、生きるということは、たんに、生存しているということではなく、「よく生きる」ということだと書く。わかったようなわからんような教えであった。2014/05/11