内容説明
「旅をすれば小説が書ける」と信じて10年。ところがある日、小説が書けなくなった。さあ、どうする?!書くこと、旅すること。
目次
書くこと、旅すること
必要なものはほんの少し
バカンス的
旅トイレ
三年前の注文
コークの一カ月
タイすきナンパ作戦
笑いの放つ光
神さまの茶目っ気
迷うこと生きること〔ほか〕
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞する。1996年『まどろむ夜のUFO』(野間文芸新人賞)、2003年『空中庭園』(婦人公論文芸賞)、2005年『対岸の彼女』(直木三十五賞)、2006年『ロック母』(表題作で川端康成文学賞)、2007年『八日目の蝉』(中央公論文芸賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiro
70
角田光代のエッセイ。旅に関するエッセイ、紀行文と普通のエッセイという構成。作者の旅行のスタイルは、リュックを背負い、安宿に泊まり、食事は屋台、移動はバスという具合だ。タイでマラリアにかかっても、この旅のスタイルを変えない。なぜ、こんな旅を続けるのか、それは書くということと、旅することが作者のなかで密接につながっているためらしい。ということは、直木賞作家になった今でも、書くためには、旅を続けていくということだろう。読者としては、今後もいい旅をして、いい小説を書いてほしい。次は「八日目の蝉」を読むことにする。2011/09/09
けぴ
50
世界のあちらこちらを旅している角田さん。旅行ではなく旅していることを感じるエッセイ。20代の頃の旅ではマラリアに罹り生死を彷徨うことも。また、日本円にすれば数百円のことでも、このお金が有ればあれが食べられる、これが食べられると考えて、必死に値切ることも。食事も屋台中心て宿泊もゲストハウス的なところ。これらの数々の経験から生き生きとした小説が生まれているんだな、と納得しました。2021/03/31
アメフトファン
47
角田光代さんの旅に関するエッセイ。沢木耕太郎さんの深夜特急シリーズを彷彿させるような面白いエピソードが満載でした。特にニュージーランドへの旅は非日常の旅に行っているような臨場感を楽しませてもらいました。またウイグルへの旅でも自分自身が地元の家族からもてなしを受けているような感覚を味わう事が出来ました。今起きていることをきっと角田さんも胸を痛めていてウイグルの家族の無事を祈っているのでしょうね。名所を巡るのではなく地元の人達に寄り添うような旅してみたいです。2015/05/11
しろいるか
42
角田さんの旅が凝縮されているエッセイ。あまりにカルチャーショックが大きかったり不衛生なのはダメな神経質な私には、角田さんのアジア旅はヘビー過ぎて面食らうばかりなのだが、かつて彼女が開高健氏の作品に感じたような「におい」をこのエッセイからも感じることができる。財布を忘れて電車に乗ってしまい、その日一日恐い妄想でドキドキする可愛い角田さんだが、こと旅に関しての逞しさには感服。不要なものをそぎ落とした旅は、きっと彼女の日々の生活にも共通しているのだろう。2011/03/22
野のこ
37
旅で気づいた気持ち。なんてことない光景だけど記憶に静かに焼きつける旅への想い。物語の光景と旅の記憶が混じりあう。年齢や経験から旅へのスタンスの変化。ニュージーランドの自然にマオリ族の大切にしている習慣、ウイグル族一家の温かいおもてなしが特に素敵でした。オリエントエクスプレスのケヴィン料理は食べてみたいです。あと角田さんが撮った写真見てみたいな。「旅につかまった」という言葉が印象に残りました。他のエッセイと被ることはあったけど楽しかったです。あと男性の「ガラス板」を割らないように気をつけたいです^^; 2017/10/05