内容説明
日本が戦争にむかっていた昭和初期。東京山ノ手には、ハイカラな外国文化と自由な空気がのこっていた。アリスの白兎にアラジンの魔法のランプ、海賊シルバーにモンテクリスト伯!チョコと呼ばれた女の子は本のなかで、いろんなともだちに出会った。歌人でエッセイストの読書への旅。
目次
ポケットにティンカー・ベル―バリー『ピーター・パン』
チョッキのうさぎを追いかけて―ルイス・キャロル『ふしぎの国のアリス』
ほんとうのお姫さま―アンデルセン『えんどう豆の上に寝たお姫様』
「ご主人さま、何用で?」―アラビアンナイトより『アラジンの魔法のランプ』
モーニングを着た玉子―イギリス童謡『ハンプティー・ダンプティー』
お菓子の家―グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』
夕映えの金色―ギリシヤ神話『プロメティウスの火』
バレリーナも一本足―アンデルセン『船の兵隊』
天井のガイコツ退治―ペロー『長ぐつをはいた猫』
木枯らしとダンナサマ―グリム童話『ハメルンの笛吹き男』〔ほか〕
著者等紹介
尾崎左永子[オザキサエコ]
1927年、東京生。歌人・作家。東京女子大学国語科卒。『源氏の恋文』(日本エッセイスト・クラブ賞)など。雑誌「星座―歌とことば」主筆。日本エッセイスト・クラブ常任理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スゲ子
2
昭和初期の東京山ノ手、チョコちゃんの「魔法のともだち」は本の登場人物たち。小学校の同級生よりも、歳の離れた華やかな姉たちよりも、本の世界と親密に過ごすチョコちゃん。ピーターパン、青い鳥、小公女、三銃士、八犬伝、宝島、紅はこべ、巌窟王、愛の妖精…。ジリジリ戦争が近づくなか、一冊一冊本を読んで成長する、みずみずしい少女時代の記憶。あの時代の少女がどんな本を読んでいたか、という記録としても面白いです(山ノ手のハイカラ生活の記録としても!)歌人で作家の尾崎左永子さんの思い出の記。2016/10/09
ありんこ
1
80歳を超える歌人で作家の尾崎さん。小さい頃読んだ本とその頃の自分の生活環境を交えて綴られています。読んだ本の内容をこんなに鮮明に覚えていらっしゃることがすばらしいと思います。それだけいつも本とともに生きていらしたんでしょう。2009/02/20