内容説明
いま、日本文化が破滅の危機にあるといっても誰もまともに取り合わない。危機意識は薄い。しかし、日本文化の伝承者を自認する著者は違う。列島をおおう乱開発や経済優先、動きだしたら止まらない行政システム…自然や文化は失われ、地方は没落していく。それに警鐘を鳴らし、怒り、果てには何度も見切りをつけようと悩んできた。しかし、そのたびに日本に引き戻されてしまう。カーはそれも「運命だ」と笑う。外からの刺激を受けつつ、長い時間と精神性がその国の文化の「実」をつくっていく。だが、日本が経済大国になったとき、「日本的なもの」こそが諸悪の根源に変わってしまった。理想を失った文化は再生できるのだろうか。いまこそ「実」をともなった「日本ブランド」が求められている。
目次
もはや外圧はない、黒船も来ない
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著者等紹介
カー,アレックス[カー,アレックス][Kerr,Alex]
1952年米国生まれ。エール大学日本学部卒業。74~77年にはローズ奨学生として英国オックスフォード大学で中国学を学ぶ。東洋文化研究家、作家。日本とタイをベースに東洋美術・文化に関するコンサルタント、執筆活動を行う。73年に四国の東祖谷山村に古民家を購入、日本の田舎の保存、自然や文化の活性化を目的としたプロジェクトを立ち上げる。美術収集家としても知られる
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