出版社内容情報
中学一年時の作文「帽子」から、芥川賞候補作の三作品、そして芥川賞受賞作「岬」まで、主要な作品を網羅し、単行本『岬』『十九歳の地図』『鳩どもの家』『十八歳、海へ』をほぼ収録した初期作品集成決定版
作家自身の関連エッセイ、大塚英志の書き下ろし解説48枚、解題等収載。片観音二色口絵に著者写真他重要資料掲載。月報44頁付き。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
minoru
2
読点のリズムがなんかいい。「岬」は結末の姦通する場面が印象が強すぎたが、瑞々しい感性が終始あった。それは肉体労働に従事し自然と一体となることを望む秋幸の心情と、死のにおいがどことなくする“路地”との関係があるのだと思う。2024/03/29
紫電改
1
久しぶりに私小説という感じの小説を読んだ、著者の経験や内面からの実体験によるものかな?もう古い小説だが、今読んでも読みごたえあり、兄や姉、母との確執や血の繋がりという話が多いが引き込まれてしまう2020/11/20
Yanqiu
0
自死した兄をもち、姉や妹をもち、再婚した母と荒くれ者の実父をもつ男、それはまず第一に中上健次自身であるのだが、それでいて彼の描く物語の登場人物でもあり、幾多の物語において別の人物としてたち表れる。様々な方向から放射線を当て一点に集めて腫瘍を焼くというような方法で数多の人物たちを透かして中上健次自身が立体的になってくるように感じる。いまさらながら『蝸牛』と『岬』の間のつながりに気づきました。『十八歳』『海へ』の荒削りでいて詩的な文章は非常に好みです。2017/11/16