内容説明
恩師の書斎に憧れた少年は世界一の書斎を手に入れた。渡部昇一知の原点。青春時代の秘蔵写真、世界一のプライベートライブラリーや世界的稀覯本をカラーで紹介!『捕物帖』から、古今東西の碩学の書まで。本と共にあった青春時代を生き生きと描く書物偏愛録。
目次
第1章 鶴岡市立朝陽第一小学校時代―1937年(昭和12年)(没収された本のゆくえ;活字の船で大海原へ)
第2章 鶴岡中学校(旧制)時代―戦中1943年(昭和18年)(敵機と辞書と捕物帖;戦渦に燈るユーモア)
第3章 鶴岡第一高等学校―戦後1948年(昭和23年)(生涯の恩師との出会い;郷里の先達からの恩恵 ほか)
第4章 上智大学時代―1949年(昭和24年)(人生を導いた三つの幸運;先輩・デカルト ほか)
第5章 上智大学大学院~ドイツ留学時代―1953年(昭和28年)(脱線話の恩恵;二冊の「知的生活」の書 ほか)
著者等紹介
渡部昇一[ワタナベショウイチ]
上智大学名誉教授。英語学者。文明批評家。1930年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr.phil.,Dr.phil.h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ノリト
38
著者よる自伝的読者体験記。 5年前に購入してやっと読了。 キング、佐々木邦、パスカル、ハマトン、アレキシシス・カレル、小泉八雲、岩下壮一、ノルダウ、チェスタトン、チェスタフィールド… 読書体験とはかくや! 厨川白村の大正デモクラシーが恩師の書斎で感じた正体であった…(ブルッタ)。 人生に何度も読むべし。 座右の書となり。 神田は偉大なり。2020/09/28
しーふぉ
17
著者は上智大の英語の教授。少年時代のエピソードが楽しかった。写真の書斎が凄い!15万冊を個人で蒐集?2016/07/03
よしひろ
12
614ページ、読みごたえ抜群の面白さ。15万冊の蔵書がある自宅はとても素敵だと思った。「伊勢物語」の綺麗な挿絵やチェスタトンの初版本など、希少な所有本が写真で紹介されているのも嬉しい。徳富蘇峰やヒルティを読んでみたいと思った。渡部さんは青春時代から、古今東西の本を愛読し、素晴らしい恩師に感化されてきた。幾つかの幸運にも恵まれたと述べる。書物を通じて、魂を揺さぶられる体験が数多くあったのだと思う。渡部さんの本を通じてまた、自分も感銘を受け、本の魅力に引き込まれていく。2015/07/31
nizimasu
10
博覧強記の渡部先生の読書遍歴を綴った大著。でもやはりここは先生の語り口故か非常にわかりやすいし、この記憶の良さは若さの理由かなと思いながら読み進める。講談社の本で育って上智に入ってからはパスカルとアレキシス・カレルをむさぼるように読んだという。個人的には何でも読んでいるイメージが合ったのだけれど、先生の場合は、自分のその時々で夢中になっている思想家やジャンルがあってそこを一個一個押さえていく作業の連続なのだなあとつくづく実感させられた。本多勝一との論争とか糾弾の話も初めて聞いて興味深かったな2015/09/01
軍縮地球市民shinshin
10
600ページを越す大著だが、内容が濃くてほんとうに面白い。山形県鶴岡市の田舎に生まれた一少年が、英語学を志すに至った経緯、数々の恩師との出会い、その影響の読書、それがよく分かった。だいたい知識人の読書経験というと、庶民とは程遠い書籍を幼少期から読んでいることが多いが、渡部氏は講談本や佐々木邦の小説、そして長じてからは欧米の通俗書など、「俗っぽい本」も紹介されている。家庭での会話が英語だったという鶴見和子との対比が面白い。田舎の少年が「保守派」になり、食うに困らないブルジョワの娘が左派になるというのも。2015/08/09