内容説明
オスカー・ワイルドの童話『幸せな王子』がアーティスト清川あさみの糸や布、ビーズなどを使い緻密に縫いこまれた作品とともに新たな絵本となって現代によみがえる。
著者等紹介
ワイルド,オスカー[ワイルド,オスカー][Wilde,Oscar]
1854~1900。アイルランド・ダブリン生まれ。詩人、小説家、劇作家。唯美主義、芸術至上主義に深く影響を受け「芸術のための芸術」を唱えて活動を展開する。同性愛で有罪を宣告され、獄中生活と劇的な失脚に苦しんだ。世紀末文学を代表する作家として、時代を超えて多くの人々に愛され続けている
清川あさみ[キヨカワアサミ]
1979年淡路島生まれ。糸や布を使ったアート作品、衣装、オブジェ、イラストレーションなど、様々な造型物を製作。また、CDジャケットやCM等のアートディレクションを数多く手掛ける
金原瑞人[カネハラミズヒト]
1954年岡山市生まれ。法政大学教授。エスニック文学、マイノリティ文学、児童文学などを講じる。書評、評論など多数執筆し、ヤングアダルト作品を中心に、翻訳した作品は200点を超える
今井智己[イマイトモキ]
1974年広島県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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匠
137
子どもの頃に別の絵本で読んで感動し、真似をして自分のあらゆるものをいろんな人に譲ったり分けたりしていたら親から激しく叱られて、ちょっとしたトラウマの本になっていたのだけど、この作品の真のテーマや当時の親の気持ちがちゃんとわかるようになった今は当然、別の想いがこみ上げる。幸せだから分ける、分けて相手が喜ぶから幸せを感じる、という2種類の幸福と価値観。タイトルの深さに今更ながら気づかされる。だけどやっぱり読後感は悲しくせつない。特筆すべきは挿絵にされた清川あさみの凝りまくったテキスタイル。素晴らしかった!2013/10/16
masa@レビューお休み中
101
街の真ん中に立って、そこに住む人たちをずっと見守り続けている幸せな王子の像。そして、仲間と一緒に旅立つことができなかったツバメが、王子の足下にやってくる。ツバメは一時の宿として使い、すぐに旅立つつもりでいたのだが、幸せな王子に頼まれごとをお願いされる。はじめは、理由を話して断っていたのだが…。この出会いはしあわせだったのか、それともしあわせではなかったのか…。悲しいお話ではあるけれど、きっと王子もツバメも一生懸命生きて、しあわせだったんだろうな。そう思いたいなぁ。2013/04/15
エンブレムT
73
図書館の、絵本コーナーではなく美術書コーナーにて発見。おお~!布に施した刺繍やビーズ、スパンコールを使った画で物語の世界を表しているのですね!!美術書扱いにも納得です。「なるほど~」と、借りてきた本書を眺めていたら、「オレ、この話って好きじゃない。報われなくって酷くね?」と乱入してきたのは12歳長男。「ボクは、つばめさんが弱ってってるのに、お願いし続けてる王子さまが、わがままでキラーイ」と、更に乱入してきたのは8歳次男。・・・なんだか、いろんな意味で「なるほど~」と、つぶやき続けた1冊になりました。2012/06/21
けんとまん1007
49
清川さんの作品の素晴らしさ。それが、ワイルドの作品と合い間って、想像が拡がる。幸せとは何だろう?そんなことを考えた。モノではなく、感謝されること、存在意義を実感できること・・・そんなことなんだろう。そんな気持ちを、みんなが持てれば、この国・この世界も随分と変わるんだろうな。まずは、自分から。2014/06/10
恭子
49
優しくて、悲しいお話。 最後の神さまと天使のやりとりが好きだなぁ。2013/10/15