新書y
自己決定権は幻想である

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  • サイズ 文庫判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784896918335
  • NDC分類 151.2
  • Cコード C0295

内容説明

「批判からしか見えないものがある。批判がないと見えなくなるものがある」。産む産まないは、女性に決める権利がある!命のリレーに参加するために、ドナーカードを持ちたい!「自分らしい死」につながる自殺・安楽死を認めるべきだ!自分の身体なのだから、「売春は自由」じゃないか!国家に逆らってイラクに行き、人質になったら、それもまた自己責任だ!自己決定権の名のもとに展開される、これらの錯綜を放置しておいてよいのか。日常用語のように広がり、誰にも反対できない、「自己決定権」は果たして正しいか?一見もっともらしい、言説の闇に深く錘を下ろし、見え透いた論理のカラクリを暴いて、「自己決定権」の負の側面を炙り出す。

目次

序章 自己決定権とは何だったのか
第1章 私はなぜ自己決定権を認めないのか
第2章 自己決定と自己決定権はどう違うのか
第3章 自己決定権と福祉国家の行方
第4章 死をめぐる感性、批判をめぐる感性
第5章 ノンと言い続けることの重要さについて
終章 自己決定権批判の課題はどこにあるのか

著者等紹介

小松美彦[コマツヨシヒコ]
1955年東京生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。東京大学大学院理学系研究科・科学史科学基礎論博士課程単位取得退学。現在、東京海洋大学海洋科学部海洋政策文化学科教授。科学史、生命倫理学専攻
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう。

32
2004年初版。自己決定権の危険性を示した内容です。具体的には脳死や安楽死などについて、死の自己決定はできるのかと問題提起をしています。僕は自己決定権は必要だと思っています。しかし、それが新自由主義と結びついた自己責任論と結びついたとき、とても危険なものに豹変するとも考えています。そういうことを考える上で、本著は刺激になりました。2017/06/09

ネギっ子gen

17
14年前の本だが、書名に惹かれ――。袖より:<批判がないと見えなくなるものがある/「自分らしい死」につながる自殺・安楽死を認めるべきだ!自分の身体なのだから、「売春は自由」じゃないか!(略)自己決定権の名の下に展開される、これらの錯綜を放置しておいてよいのか。日常用語のように広がり、誰にも反対できない、「自己決定権」は果たして正しいか?一見もっともらしい、言説の闇に深く錘を下ろし、見え透いた論理のカラクリを暴いて、「自己決定権」の負の側面を炙り出す>と。ただ、障害者の「自立生活運動」への言及なしが残念。⇒2021/03/25

スズツキ

6
途中から強烈な違和感がでてきたが、終盤でその理由がわかった。著者は大学教授で倫理学者でありながら、自分のイデオロギーと対立する思考をあてこすっているのだ。全ては自己決定していると間違った「洗脳」を受けている学生に反対をぶつけ転向させて満足させているが、これこそまさに「洗脳」ではないのか。愛煙家である著者は、受動喫煙防止の法律をナチスと結びつけ、自衛隊の海外派兵は果ては徴兵制になるから反対しなくてはいけないという唐突な発言まで展開していく。わたしは疲れたよ。2015/03/07

わい

3
ライターの山崎マキ子さんが、ツイッター上で紹介されていて、気になっていた本。自己決定とはなにか?自分とは何か?脳死による臓器移植、安楽死などに、著者は反対の姿勢をとる。「あなたはあなた一人のものではない」と言ってしまうと陳腐に聞こえてしまうが、なぜ「私は私一人で完結し得ないか」を、様々な知見から、医学的根拠と本人の哲学とを駆使して、血の通った言葉で語りかけてくる本。私自身は、意見そのものは異なる部分があるかもしれないが、小松さんはその差異もまた、否定するのではなく、自分の考えを述べてくれるように感じた。2020/11/29

toshiki

2
命は自分だけのものではない。死んだら人の心の中に行く。など、共感できた。自己決定権を正当化して行う法整備は危ういと感じた。騙されないようにしよう2023/09/21

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