新書y<br> 環境と文明の世界史―人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ

新書y
環境と文明の世界史―人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ

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  • サイズ 新書判/ページ数 270p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784896915365
  • NDC分類 204
  • Cコード C0222

内容説明

人類が営々と築き上げてきた文明は、頻繁に変化する自然環境とともに興亡を繰り返してきた。人類の飽くなき知恵と欲望は、今日の「繁栄」をもたらしたが、次々に自然を破壊することで、地球環境の悪化をもたらした。人類の歴史は、自分たちが自然環境に生かされていることを忘れた滅亡への道でもあった。環境学、環境考古学、比較文明史の論客が、環境史の視点から人類の滅亡回避の可能性を論じ合った警世の書。

目次

序 今なぜ環境史を学ぶ必要があるのか?(環境史―マルクス主義史観に押し潰されてきた環境史研究;年代測定―歴史認識を逆転させた画期的な年代測定法の発見)
第1部 現代型新人の誕生から古代文明の崩壊まで(二〇万年前~二〇〇〇年前頃)(現代型新人の誕生―ネアンデルタール人とマンモスはなぜ絶滅したのか?;農耕革命と定住革命―北アメリカの巨大“氷河湖”の崩壊と農耕の始まり ほか)
第2部 グレコ・ローマ文明の誕生から中世ペストの大流行まで(紀元前二〇〇〇年頃~紀元後一五世紀)(水と文明―たった五〇〇ミリの雨から生まれたグレコ・ローマ文明;金属と文明(1)―金属汚染と引き換えに手にしたローマ帝国の栄光 ほか)
第3部 ヨーロッパ世界の拡大から「欲望全開」の世紀まで(一五世紀~現代)(植民地と文明―イスラムの圧力に押し出された「大航海時代」の幕開け;遊牧民と文明―ヨーロッパ人の植民地経営法は遊牧民の発想 ほか)
結び 環境史から人類の未来を問う(環境革命と文明―人類の破局を食い止める「環境革命」は可能か?)

著者等紹介

石弘之[イシヒロユキ]
1940年東京生まれ。朝日新聞編集委員を経て、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授。専攻は環境学。東京大学教養学部卒業

安田喜憲[ヤスダヨシノリ]
1946年三重県生まれ。国際日本文化研究センター教授。専攻は環境考古学。東北大学大学院博士課程退学。理学博士

湯浅赳男[ユアサタケオ]
1930年山口県生まれ。新潟大学名誉教授。現在、常磐大学教授。比較文明史・経済人類学専攻。東京大学大学院MC修了
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サロメ

6
人類誕生から現在に至るまでの、地球環境と文明興亡との関係を紐解く、まれに見る良書。環境学、環境考古学等の専門家が対談形式で人類と環境との関わりを過去から現在へと体系的にまとめ上げていく。我々現生人類が持つ遺伝子レベルでの欲望、近代世界の中心であるインド・ヨーロッパ語族が持つ「牧畜的、遊牧的性格」が地球環環境に破壊的なダメージを与え続けてきたという説には目を開かされた。人類の20万年の歴史上、自らの意思で環境改善に動いた例はなく、飢餓や疫病などにより壊滅的なダメージを受けて初めて反省するのが人類らしい。2012/02/17

taming_sfc

5
石弘之・安田喜憲・湯浅赳男先生による2003年の書籍。環境考古学・比較文明論・環境学のそれぞれの立場から、環境史について鼎談を繰り広げる。普通、鼎談や対談は、学術的価値が落ちるし、とリビアだらけとなるが、本書は、鼎談にしては体系だって議論が進んでいる。一貫して文明のあり方と、その環境への影響が記述されており、21世紀文明がいかなるべきかについて考える一般読者にお薦めの一冊である。2010/10/25

ukknok

4
鼎談による環境史概論。話は興味深くわかりやすい。ただ巻末に索引と著者たちの解説のついた読書案内があれば、なおよかった。あとは雑学的な知識もいろいろ書いています。例えば平安〜室町時代に中国が日本刀を輸入して溶かし、鋼の材料にしていたとか。2010/03/07

KN

3
人類の定住化を促した要因のひとつは火種の保存、漢民族とインド・ヨーロッパ語族は森林の破壊者、定住化で疫病が蔓延するようになる、中世ヨーロッパはアルプス以北のスラブ人やゲルマン人を奴隷化しイスラム世界に売っていた(仲買人はユダヤ人)、中世ヨーロッパ…12世紀ルネサンスからの繁栄そして14世紀には寒冷化とペスト流行による没落、大航海時代は牧畜民の海への進出、21世紀は最大の制約条件である水資源の枯渇からの紛争そして破局というのが既定路線…などなど興味深い指摘が多かった。2017/10/29

がっち

3
環境史をここまで簡単に噛み砕いている本はないだろう。環境は20世紀になってでてきたものだと思われがちだが、そうではない。20万年前から環境と人類は共存してきた。しかし産業革命がおこりそのバランスがくずれたということなのであり、現在は考えなければいけないタームポイントに差し迫っているのである。2013/06/12

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