内容説明
男にとって母とは何か。人が古郷を慕うようなものか。大切なものを一つ失うと心は大地へと傾斜する。魚が海へとかえるように。北の寒村余市の夏、さくらんぼは懐しい香気。土さらに凍る冬を耐え、馬糞風吹く春五月、再び樹木へと育とうとする。忠康少年の追憶シーンは酒井館長に息を吹き込まれ、滑川公一の想像力を刺戟した。男たちの望郷は今、コラボレーションとして結実する。
著者等紹介
酒井忠康[サカイタダヤス]
1941年北海道生まれ。慶応大学文学部美学美術史学科卒業。神奈川県立近代美術館勤務の後、現在同館館長。日本の近代美術をテーマとした処女作『海の鎖』で注目され、その後芸術家の風土性に注目し、美術評論家としても活躍する
滑川公一[ナメカワコウイチ]
1948年東京生まれ。1974~1980イラスト・漫画修行のため渡仏。1981年個展「パリと猫と…」で’82年度日本漫画家協会優秀賞受賞。日本美術家連盟・洋画部会員
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