出版社内容情報
古典はどう読み、それによってどう解釈するのか。古文辞学という新たな古典解釈の方法を提唱して、独自の学問体系を構築した徂徠の著作を現代訳し、彼の言語・国家観等、その全体像を提示する。
田尻 祐一郎[タジリ ユウイチロウ]
著・文・その他
内容説明
日本の儒学史に屹立する徂徠の全貌。徂徠の登場によって江戸の儒学は一変した。古典はどのように読むべきか、それによってどう解釈するのか。古文辞学という新たな古典解釈の方法を提唱して、独自の学問体系を構築した徂徠の著作を現代訳し、彼の言語・国家観等その全体像を提示。
目次
1 生いたちと南総体験、出仕
2 仁斎学への共鳴と批判(「与伊仁斎」;『論語弁書』;『〓(けん)園随筆』)
3 学問の方法―古文辞学(訓読の否定;『訳文筌蹄』;『学則』)
4 「先王の道」(「道」とは何か;聖人;君子;小人;孔子)
5 徳川体制の改革(『徂徠先生答問書』;『政談』;『太平策』)
6 門人・知友、著作、晩年
著者等紹介
田尻祐一郎[タジリユウイチロウ]
昭和29年生、昭和59年、東北大学文学研究科単位取得退学。現在、東海大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きさらぎ
3
徂徠という人の問題意識は常に「全ての人の安心・幸福」であったのかもしれない。先日感想を書いた渡辺氏は徂徠を評して「<近代的>と呼ばれる立場のほぼ正確な陰画であり、歴史観としては反進歩・反発展・反成長、反都市化・反市場経済、反自由・反平等・反啓蒙・反民主主義である」と書いた。私も読んだ限りにおいてその通りだと思う。徂徠が夢見る世界は成長も進歩もない極めてスタティックなユートピアだ。追究されるのは倫理でもなく進歩でもなく「幸福」であり、そこが彼の豊かさでもあり甘さでもあり、やや物足りなく感じるところでもある。2015/09/30
あけの
1
私が読みたかった本ではなかったけど徂徠の思想が知れてよかったです でも難しかった!!2018/08/07
山崎 邦規
0
荻生徂徠の思想を丁寧に追った思想書である。文意は明瞭で、徂徠の学説が腑に落ちる形で解説されていた。私としても参照すべき内容があり、すべてではないが、参考になる。すなわち、政治改革の方向性として、政治問題の具体論は取ることがない一方、理念として社会のあり方を論じ、学習の方法に関しても提言しているあたりは、関心がある。幕府の運営という問題意識ではなく、人としての身の修め方が私の焦点であった。経済活動に喉元がある私でも、徂徠の古文辞学は大いに検討すべき内容である。2024/01/22