内容説明
四十二人の証言。インドネシアに侵入した日本軍は、「旗の色も、民族も同じ」と解放者を装ったが、まもなく日の丸を押し付け、侵略者の正体を現わした。インドネシアの人びとは、もうひとつの紅白旗メラ・プティをしっかり胸に畳んで、独立に備えた。その三年半の鎖された記憶を甦らせ、人びとは歴史の空白を埋める。
目次
1 日本占領時代のあらまし
2 日本軍政の始まり
3 ジャカルタの暮らし
4 青年たちの大量動員
5 芸術家たちの貢献
6 日本占領時代の教育
7 スマトラ義勇軍
8 独立宣言のころ
感想・レビュー
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makimakimasa
9
1941年末から群島への占領が徐々に始まり、翌年3月4日に蘭軍はバタヴィア撤退。日本が友好的なのは当初1週間だけで、メラ・プティもインドネシア・ラヤも禁止、毎朝皇居へサイケイレイ強要、常軌を逸して乱暴なケンペイタイ、モフタル医師の首切り、三亜運動の押し付け、学生は丸刈り。一方で、トナリグミでは金持ちと庶民が融和。銃を跨いだギユウグン1名が日本人教官を怒らせ、60名で延々平手打ちさせ合う罰、そんな両者も戦後は同窓会で交流。独立宣言を知らされず解散したが、「人生で最も素晴らしい時代」とまで言う元兵士証言も。2020/10/24