感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
富士さん
4
我が聖典、再読。本書は社会構築主義を提唱したものとして有名ですが、本書から真に汲むべきテーマは社会問題についてのみ語るという廉直な姿勢が一貫しているところだと思います。例えば殺人が社会問題であるのは法学的な犯罪や医学的な死亡とは社会的には違った事実であって、その事実が定義に係る限定的なものであることを謙虚に表明し、それだけであたかもすべての人の死に方に関する真理を感得しているかのように社会を診断し、人を裁く魔術師どもから社会学を解放しようという企てこそ、本書が示す最も重要な意義であろうと思うのです。2018/02/11