こんな夜更けにバナナかよ―筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 463p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784894532472
  • NDC分類 916
  • Cコード C0036

出版社内容情報

【この本をお薦めします!~紀伊國屋書店札幌本店・大場】
 この「夜バナ」を読むと、本来ボランティアとは?障害者を支援するとは?と大上段に構えがちな問題を、障害を持った人も「普通に」「自立」して生きたいと願う「普通」の人であり、何かをしてあげる存在ではないことがわかってくる。筋ジストロフィーという病を抱えてもなお、人間として尊厳を持って生きたいと願う一人の「おじさん」鹿野氏と、彼を支えたボランティアの人々の日常を丁寧かつ深く掘り下げたルポである。従って様々な心の葛藤、言い合いも含め本音で語られている。人間としての当り前の「わがまま」の中の暖かくも強い姿に感動した。

【この本をお薦めします!~紀伊國屋書店洋書部・松野享一】
 美談ではない。なにせシカノはワガママだ。自分を「カリスマ」だと勘違いしているし、エロおやじだし。シカノは人工呼吸器をつけ24時間介助を受けて自立生活を営んでいる筋ジストロフィー者だ。ボランティアや有償の介助者たちは離れていかないのか。離れていかないのだ。なぜ。読めばわかる。読んでもわからないかもしれない。

内容説明

人工呼吸器を着けながらも自由を貫いた重度身体障害者と、生きる手ごたえを求めて介助に通う主婦や学生ボランティア。ともに支え合い、エゴをぶつけ合う、そこは確かに「戦場」だった―。札幌在住の大型新人が放つ渾身の長編ノンフィクション。

目次

プロローグ 今夜もシカノは眠れない
第1章 ワガママなのも私の生き方―この家は、確かに「戦場」だった
第2章 介助する学生たち―ボランティアには何があるのか(1)
第3章 私の障害、私の利害―「自立生活」と「障害者運動」
第4章 鎖につながれた犬じゃない―呼吸器をつけた自立生活への挑戦
第5章 人工呼吸器はわれなり―筋ジス医療と人工呼吸療法の最前線
第6章 介助する女性たち―ボランティアには何があるのか(2)
第7章 夜明け前の介助―人が人と生きることの喜びと悲しみ
エピローグ 燃え尽きたあとに残るもの

著者等紹介

渡辺一史[ワタナベカズフミ]
フリーライター。1968年(昭和43年)愛知県に生まれ、大阪府で育つ。北海道大学文学部中退。1987年(昭和62年)より札幌市在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

256
第25回(2003年) 講談社ノンフィクション賞受賞 第35回(2004年)大宅壮一ノンフィクション賞受賞 。 日本におけるボランティアを 描く。「生きる」ということを 切実に感じる本である。 筋ジスの鹿野靖明とボランティア。 鹿野がわがままで陽気なのがよい。 それを支える学生と主婦の ボランティアたち。介護の現場で 何があるのか。若者たちは何を 感じてボランティアをするのか。 そして、エピローグ…なぜか 日本の未来の明るさを感じた…そんな 本だった。 2014/05/01

美登利

97
映画予告をみて、そういやこのタイトル前に見かけたなぁと思い読んでみました。なるほど、心も体も不調の時にはかなりズシンと来るので(イライラすることも)避けた方が良さそう。著者と同様の気持ちを持ちつつ、鹿野さんの貪欲な部分も繊細な部分も障害者健常者の区別なく大抵の人が持つエゴだと感じます。声をあげないと何も始まらないことは有るのだと伝わりました。多くのボランティアの人々を取材し自分も2年半参加した著者の思いも、美談ばかりじゃないところも圧倒されました。本当に人間は1人で生きて行くことは出来ないものなのだな。2018/12/14

紫 綺

93
私には短期間ではあるが、重度障害者になった過去がある。全身麻痺のため一切身体を動かせず気管切開の上、人工呼吸器を装着。介助がなければ何も出来ない、まさにシカノ状態。苦しい痰の吸引、痛いカニューレの交換、深夜の体位交換等々、体験者でなければ知らないことを知ることとなった。筋ジスの重度障害者と多くの介助ボランティアとを赤裸々に描くドキュメンタリー。「フツウの生活って難しい。」2019/03/01

pukupuku

77
2003年初版ということだから、その頃の私は自分のことでいっぱいいっぱいの毎日を過ごしてたような気がするなぁと記憶をたぐる。きっと、テレビや新聞で鹿野さんのことを目にしてたはずなのに。鹿野さんをサポートするたくさんのボランティアや関係者がその時代その場所にいて、それぞれに葛藤しながらも、鹿野さんの思いや存在を今に繋いできたんだと思う。そして、今、映画化されて、随分遅くなったけどこの本を手にしたことは、私にとってきっと意味のあることなんだと思う。2019/02/02

おいしゃん

70
【講談社ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション賞作品】こんなタイトルで、ノンフィクションの賞を獲ってるとは一体どんな本なのか…ずっと気になっていたが、重度障害者シカノさんをテーマにした、実に重い作品だった。自己主張や要求の極めて多いシカノさんだが、ストレートゆえにボランティアと強い関係性が生まれていくのも見どころだし、そもそもシカノさんの要求は当然の権利なのかわがままなのか、など色々考えさせてくれる良書。切ないが、読み応え充分。2017/05/20

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/105449
  • ご注意事項