内容説明
一三〇冊にのぼる自筆ノート「青鴉」に記された、誰一人知ることのなかったそのナイーブな魂の苦悩…。長谷川四兄弟の三男に生まれ、大川周明の後ろ盾で満洲に渡り、戦前の大ベストセラー、バイコフの『偉大なる王』を邦訳。そして甘粕正彦の最期を看取った男の“敗北”の真実とは?
目次
第1部 コザックたちの夢
第2部 南嶺の赤い月
第3部 満洲浪漫
第4部 三河幻想
第5部 満洲崩壊
第6部 挫折の戦後
エピローグ 木靴をはいて
著者等紹介
大島幹雄[オオシマミキオ]
1953年、宮城県生。早稲田大学文学部露文科卒業。サーカス・プロモーター。アフタークラウディカンパニー(ACC)勤務。海外からサーカスやクラウンを呼んで、日本でプロデュースしている。石巻若宮丸漂流民の会事務局長、早稲田大学非常勤講師。デラシネ通信社を主宰、不定期刊行の雑誌『アートタイムス』を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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100名山
2
東京裁判で東条英機の頭を叩いた大川周明の後押しで満州に渡り 大杉栄と伊藤野枝を殺した甘粕正彦に可愛がられた長谷川濬が残した 130冊のノートを元に書き起こした評伝です。 満州に渡ることが悪ではなかった時代の一人の人の記録です。 大日本帝国の時代に朝鮮や南洋を探検した梅棹忠夫の記録を読むような気分になりました。 そういえば人生の大きな機運を目の前に病気によりそれを失うところも共通しています。 バイコフの「偉大なる王」を初めて翻訳出版した人 コサックのドン・コサック合唱団を初めて日本に招聘した人 2012/11/26
ななっち
0
満州というのは自分自身にとって歴史としてしか存在していないのですが、満州浪人含め、非常に興味を掻き立てられるものがあります。函館出身で、「偉大なる王」で注目されつつも、戦後埋もれていった文学人の長谷川の物語。2012/12/09