出版社内容情報
ことばの奥深く潜む魂から近代を鋭く抉る鎮魂の文学
「『原物語』とでも呼ぶべき記憶を岩盤にした深き湖底が、主たる登場人物、志乃の内奥にはあるのであろう。その湖底から、たくさんの相似形的なストーリーがわき、『現物語』としてひとつひとつ湖面に浮きでてくる。私たちの生きる現物語とは、たかだか原物語の再生像のひとつにすぎないのかもしれない。現物語は常に原物語を帯びているのであり、いかに無残でも無様でも、原物語の受苦の深みを超えることはないようにも思われる。」
(辺見庸氏評)
目次
1 十六夜橋(梨の墓;ほおずき灯篭;十六夜橋;みずな;櫛人形;雪笛)
2 『十六夜橋』をめぐって(川波;あやとり祭文;蘭の舟 ほか)
3 エッセイ1979‐1980(夢の中の文字;自分という風呂敷;自我と神との間 ほか)