パリの胃袋

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パリの胃袋

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  • サイズ B6判/ページ数 446p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784894343276
  • NDC分類 958
  • Cコード C0397

内容説明

舞台は食の殿堂パリの中央市場。ガラスと鉄で作られたこの近代建築のなかは、活気あふれる喧騒に満ち、肉、魚、野菜、果物、チーズと、いたるところ食物の山、山、山。飽食と肥満が美徳のこの世界に、骨と皮ばかりにやせ細ったひとりの若者が入り込む。この男フロランは、一八五一年のルイ・ナポレオンのクーデターの折に無実の罪で南米ギアナに流され、苦しみぬいた末に脱走を果たして、ひそかにパリに戻ってきたのだった。市場で働く人々は、この哀れな男を初めは暖かく迎えるが、やがてうさんくさい異分子の匂いを嗅ぎつけ、彼の行動を監視して隙あらば追い出そうとする。正義と友愛を夢見ているフロランは、安楽な生活を守ろうとする彼らのひそかな敵意に苦しみ、ついには政治的陰謀に加担して第二帝政そのものの転覆をくわだてるのだが、さて、その結末は…。

著者等紹介

ゾラ,エミール[ゾラ,エミール][Zola,´Emile]
1840年、パリに生まれる。フランスの作家・批評家。22歳ごろから小説や評論を書き始める。1862年、アシェット書店広報部に就職するが、1866年に退職。1864年に短編集『ニノンへのコント』を出版、1865年に処女長編『クロードの告白』を出版。1870年、アレクサンドリーヌ・ムレと結婚する。1871年『ルーゴン・マッカール叢書』第1巻『ルーゴン家の繁栄』を出す。その後『居酒屋』、『ジェルミナール』を経て1893年、『パスカル博士』をもって『ルーゴン・マッカール叢書』は完結。また自然主義文学の総帥として論陣を張り、『実験小説論』(1880年)を書いた。1888年、女中ジャンヌ・ロズロとの関係が生じ、その後2児をもうける。1891年には文芸家協会会長に選出。1897年暮れからドレフュス事件においてドレフュスを擁護、1898年1月、「私は告発する!」という公開状を発表。そのため起訴され、同年7月イギリスに亡命。翌年6月に帰国、空想社会主義的な『豊穣』『労働』などを書いたが、1902年9月29日、ガス中毒により急死。遺骸は1908年にパンテオン廟に移された

朝比奈弘治[アサヒナコウジ]
1951年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在、明治学院大学文学部教授。専門は、19世紀小説研究、特にフローベール
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

48
「ルーゴン・マッカール叢書」第3巻。パリの全市民の胃袋を支える公設市場を舞台に裕福で帝政に満足している人=太った人と、裕福ではなく社会に不満を持っている人=痩せた人の対比を通して、帝政当時のパリの食事情と、市場周辺で繰り広げられる人間喜劇、そして帝政の陰でうごめく人々を描いている。この太った人、痩せた人の違いが実は紙一重で、痩せた人も富を得ることを狙ってパリから離れることができないというところが、ゾラが描きたかった人間の性なのだろう。太った人の代表リザは、『居酒屋』のジュルヴェーズの姉。妹との違いがすごい2016/04/16

白のヒメ

42
ページを開くと、怒涛のように飛びかかってくる19世紀に隆盛を極めたパリの中央市場の喧騒。ありとあらゆる食べ物、色とりどりの新鮮な、あるいは腐った野菜や果物、殺された動物の血の滴る肉や臓物、海や川の生臭い魚が、私の嗅覚に視覚に触覚にありありと迫ってくる。市場で働き、でっぷりと肥えて暮らす人間達の暮らしの根底にあるリアルな卑しさが、飽和する豊かな食物の上に浮き上がる。これは俯瞰してみれば、一つの大きな生き物「パリ」の胃袋の部分にあたる物語。始終圧巻されてしまった。2014/10/12

ラウリスタ~

20
ほとんど一年後に再読か、仏語。「太っちょ」と「やせっぽち」の対立がずっと展開されている。パリ中央市場の豊穣さとは、食→排泄物、ゴミ→堆肥→作物という生と死の連鎖、回転が集約された場所だから。そのあまりの生命力の強さ(性欲、食欲)は、子供っぽい「純粋さ」を持ち続けるやせっぽちに吐き気をもたらす。第二帝政が終わった直後に、あったかもしれない「反乱」のあまりに幼稚な企てとその失敗を描く、当時としては政治色満載だったろう小説でもある。魚の名前とかチーズの名前とかそんなにぽんぽん出されても知りませんがな。2017/02/11

kthyk

19
鉄とガラスの建築はロンドン万博の水晶が始まりだが、オルセー駅、エッフェル塔、中央市場(レ・アール)と、まさにパリが近代建築のスタートを切った。この物語はそんな時代の時間と空間、中央市場に展開される庶民の生の世界を、ことごとく言葉に置き換え描いている。言葉の世界だが、それは決して文字でも音でも絵でもない。観るもの聴くもの、映画でもなく、総てがあるがまま、生の人間世界。つまり、この小説が描いた世界は視覚・絵画的であるより、悉くが聴覚的・触覚的。知覚的に響くものが在るとしたら、それは今を生きる、生の人間世界だ。2023/01/17

ラウリスタ~

17
1873年の作品。割と前期にあたる。肉屋の女将さんのしょうもない恋愛模様でも描かれているのかと思ったら全然違う。ゾラの芸術小説といえば『制作』と相場が決まっているのだが、実は、この『パリの胃袋』こそがその手法において高度に芸術家小説しているのだ。豚肉屋のショーウインドーの静物画、チーズ屋の悪臭によるハーモニー(匂い、音楽、絵画が文学において交感している)、ゾラってこんないい文章書けるんだ、と驚く。2016/02/14

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