内容説明
愛していることも間違いのない真実。けれど、しんどいことも紛れもない真実。どちらかだけではウソにしかならない。しんどくないフリをするのではなく、どちらも真実と認めていく、そこからしか“柳の強さ”は生まれない。そういうふうに考えてもいいのかな。ありのままの自分を肯定してもいいのかな。私がありのままの自分でいられることで、海にとってもいちばんいい母親でいてやれると思いたい。
目次
旅へ
グーとパーと「ひとつ」の手
三三歳のツヨシ君
底なしに暗い目と出会った
黙って差し出される手
樫の強さ、柳の強さ
「プロ」のカン違い
「このテの人」は始末が悪い
当事者を「透明人間」にしておいて
重度障害児の母という「専門家」〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ichigomonogatari
2
障害児を育てている親の日常は想像を絶する大変さなのだなあ!子供を深く慈しみ育てていることと、それに疲れ果て、自分のことを省みることすらできなくなることは矛盾しない。怒涛のような育児を経て、著者は、自分は自分らしくしか生きることはできない、という結論に達する。それは、誰にも何も言われる筋合いもないことだ。程度の差こそあれ、高齢の両親の介護をする自分にも関わってくる問題がたくさんあった。2019/10/08
かわあしくん
1
同じ障害者の親として、傷を舐め合うような感覚で読んでしまう部分が必ずあります。京都大学まで卒業しておられる教授みたいな立場の人だったんだと最後にびっくり。なおさらこの状況に置かれた苦しさや悔しさがわかる気がします。ここまで赤裸々に気持ちを吐き出されている本はなかなかないでしょう。こんなに書いて親御さんとの関係は大丈夫かなと心配になるくらいです。まだ自分はずいぶんマシだな、甘えているなと思いました。ありのままでいいんだと励ましてもらいました。2013/01/05