叢書記号学的実践
可能世界・人工知能・物語理論

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  • サイズ A5判/ページ数 514p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784891765507
  • NDC分類 901
  • Cコード C0098

内容説明

人工知能(AI)研究のテクストとストーリー自動生成の諸モデルをオースティン、サールにはじまる言語行為論の成果とともに虚構研究に適用し、「物語とはなにか」「虚構とはなにか」「筋(プロット)をおもしろくする美的基準とはなにか」―といった“正統派構造主義によって異端の烙印を押されていた”問いに明晰にこたえて物語論の新たな展開を示した二十一世紀仕様の文学理論。英米系「脱構築」論者の誤解にもとづく記号論詩学への批判を一蹴する才気溢れる冒険の書。

目次

第1部 虚構のゲーム(虚構の中心移動;可能世界と到達関係―虚構の意味論的分類;テクスト宇宙の再構築―最小離脱法則;声と諸世界 ほか)
第2部 筋の図面作成(物語宇宙の様相構造;筋の力学―目標・行動・計画・私秘的物語;仮想性と物語価値性;累積・枠・境界、あるいはコンピュータ言語としての物語 ほか)

著者等紹介

ライアン,マリー=ロール[ライアン,マリーロール][Ryan,Marie‐Laure]
ジュネーヴに生れる。ジュネーヴ大学、カリフォルニア大学で言語学・独仏文学・コンピュータ科学を学ぶ。ソフトウェアコンサルタントのかたわら在野の文学理論家として活躍

岩松正洋[イワマツマサヒロ]
1965年、福岡市に生れる。パリ第四大学博士課程修了。関西学院大学商学部助教授。専攻、小説理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きつね

6
可能世界論の枠組からボルヘスなんかを整理する第一部はなるほどと思わされることが多く勉強になる。のだが、第二部から第一部でもしばしば幅をきかせた分類癖と、物語理論を人工知能理論で言い換え続ける(けれどもそのメリットがいまひとつはっきりしない)まだるっこしさにうんざりする。一番面白かったのは舌鋒鋭い訳者あとがき。2014/02/25

flat

5
物語の構造論。プログラムでの物語作成についても述べられているが、どちらかというとその前にある物語の構造についての厳密な定義を行うことに重きを置いているという方がしっくりくる。文中にもあるけど、将来プログラムで物語を作れる様になっても、それを選別するセンスは相変わらず人間に依存する事になるというのはその通りだと思う。しかし自動生成の難しさはSEO会社がテキスト自動生成プログラムを使ってゴミしか作れず、更にそれをGoogleに見破られてペナルティを受けている現状を見ていても窺える気がする。2016/03/20

roughfractus02

2
機械が語ると想定する場合従来の物語論の語り手では人格的過ぎる。そこで著者は「人格的/非人格的」という区別を導入し、同時に虚構世界を可能世界的に(論理的排中律より文学的類似的な規準で)捉え直す。だが難題は、可能世界的虚構論に物語を導入することだ。著者は、人工知能語彙に置き換えつつアルゴリズムによる物語生成を分岐ごとに分類し、従来の具体例を挙げて説明するが、お伽噺でのアレゴリー要素を代表とする物語内容とは別のメッセージ行為(教訓、異化等)を省く。ここに、機械の読者の理解とは?という問いが含まれるように思える。2017/02/15

wanted-wombat

1
第一部の虚構論、第二部の物語論、それらを(基本的に)三つの様相体系で説明しようとする。ひとつはAW(実際の世界)、ひとつはTAW(テクストの実際の世界)、ひとつはTRW(テクストの指示する世界)。本書はその性質上、論理記号が頻出し論理学に馴染みのない人には骨が折れるかもしれない。実際、私もそのうちの一人です。だが、説明が割りと平易で慣れてくるとどんどん次を読み進めたくなる面白さがある。個人的に、第一部の虚構論の方に興味をひかれた。第二部は具体例として挙げられる著作の読み解き方が面白いと思いました、2012/09/18

87

0
虚構性を定義づけていく第一部の明晰さは白眉。2017/07/25

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