さまざまな空間

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  • サイズ A5判/ページ数 223p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784891764951
  • NDC分類 954
  • Cコード C0097

内容説明

「生きること、それは空間から空間へ、なるべく身体をぶつけないように移動することなのである」“言葉の工学者”ペレックにかかると、日常のなかにさまざまな空間があらわれ始める。

目次

ページ
ベッド
寝室
アパルトマン
集合住宅
通り
地区(カルチエ)

田舎

ヨーロッパ
世界
空間

著者等紹介

ペレック,ジョルジュ[ペレック,ジョルジュ][Perec,Georges]
1936年、パリ生まれ。1965年、『事物』(1965)でルノドー賞を受賞して文壇に登場。1966年、レーモン・クノー率いる実験文学集団「ウリポ」に加わり、『失踪』(1969)など言語遊戯的作品の制作に耽る。そのかたわら、自伝的作品への関心も抱き続けた。1987年、『人生 使用法』(1978、邦訳、水声社、1992)でメディシス賞を受賞。1982年、死去

塩塚秀一郎[シオツカシュウイチロウ]
1970年、福岡県生まれ。東京大学教養学部卒業。現在、北海道大学大学院文学研究科助教授。フランス近現代文学専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

傘緑

39
倒立的アナグラム「ベッド 長いあいだにわたって、私は自分を書き記してきた。 パルセル・ムルースト」ものを書くという極めて空間的な行為と自由に戯れるぺレック流のアクロバッティックな言語遊戯が、そのままバルトの『小さな神話』を思わせる日常(空間)への語りかけ、哲学的な空間論へとつながっている。「街のなかに非人間的なものなどなにもない。われわれ自身の人間性を除いては」「人間はよほど重要な出来事がないと、腰をあげないものだ…戦争、飢饉、伝染病…そして、あの小さな村、あの小川…広大な芥子畑を思い出し、懐かしくなる」2017/01/15

田氏

18
空間。境界で囲われた範囲でもいいし、なんらかの中心にまとわりついていてもいい。空間についての思索が、「ページ」から始まり、ベッド、寝室、アパルトマン、集合住宅…と拡大していく。やがてそれが街から田舎へ拡がり、国にまで膨張すると、思索は急に薄まって散逸してしまう。ヨーロッパ、旧大陸、世界…そして思考は「空間」に至り、空間の果てを越えて裏返ったように、ページの上に収束する。書くということへの想い、なにかをそこにとどめようとする意思がかたちを見せる。それは偏執的なまでの透徹にも、なかば脅迫めいた洗練にも見える。2019/12/03

qoop

7
室内、街、田舎…と、区切られた多様な場所/空間とそこにまつわる行為とを、記憶・観察を駆使して執拗に描写する著者(小著ではあるが、ページ数を越えてそう思わせる)。まるで言葉でもって空虚/空間を埋め尽くそうとするかのように。そもそも言葉にそれが出来ると信じているのかいないのか。微妙な印象も覚えたが、ナチスによって両親を奪われ、子供時代の記憶がないという著者の過去を解説で読み、信念の問題ではなく執念なのかとも思った。うがった見方をすればある種のセラピーに近いのかもしれない。2019/11/18

gu

5
クノーの『文体練習』よろしく、ジャンルを規定できない文章の連なり。書きぶりはとてもゆるいんだけど構成はかっちり計算されている。ページ→ベッド→寝室→アパルトマン→集合住宅→通り→地区→街→田舎→国→ヨーロッパ→世界、という風に描かれる空間はどんどん拡大して、最後は空間そのものが対象になる。再発見の楽しさ。2011/11/20

弟子迷人

3
ペレックには、この本から入ったのであります。会わせてくれた書店員さんんに感謝しています。たいへん素敵な本なので、超絶お薦めです!><

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