フョードロフ伝

フョードロフ伝

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  • サイズ A5判/ページ数 355p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784891763640
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0010

出版社内容情報

かねて、名のみ高かったフョードロフの人となりについてはじめて書かれた本格的評伝である。フョードロフ(一八二九~一九〇三)はロシア思想史における最も特異な存在である.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』229頁、より)

内容説明

膨大な百科全書的知識に基づいた、宗教的かつ科学的なその夢想的理念によって、ドストエフスキー、トルストイ、プラトーノフらにも多大なイマジネーションを与えた、19世紀末ロシアの「幻の思想家」ニコライ・フョードロフ。再評価の進むロシア思想のなかでも、もっともラディカルなその思想と、ユニークな生涯の全貌を明らかにする、本格的評伝。

目次

1 人物と生涯(モスクワ以前;伝説的な司書;モスクワのソクラテス)
2 教義(『共同事業』の教義の哲学的前提;自然統御;祖先の復活;フョードロフの教義の宗教的象徴的層 ほか)
3 理念の運命(フョードロフと二十世紀ロシア文学)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

7
ポスト・ヒューマン思想に欠落する倫理を考える上で重要な伝記だろう。ロシア宇宙主義の祖とされ、旧ソ連の科学技術と宇宙開発に実際の影響を与えたフョードロフは、その思想を明かさず死んだ。神は構築できると考え、全てが不死となるヌースフィアを構想し、全ての父祖の復活を義務として技術による宇宙の統御を考えていたからだ。一方、無神論、人間至上主義、技術至上主義と見なされる彼が、自らの考えを明かさず無名を貫いたまま人生を終えたのは、自分が不死を得るのでなく、人類全てが不死を得るという無名の他者を中心に考えたからだという。2019/09/14

kinka

1
19世紀ロシアの思想家、フョードロフの生涯と思想、影響を纏めた評伝。屍者の帝国(伊藤計劃/円城塔)関連本。哲学の基礎、人間は死すべきもの、という前提を真っ向から否定し、人は不死へと進化し、植物みたいな独立栄養を確立し、自然を統制して地上に嘗ての楽園を建設する、のみならず、父祖悉くを復活させて、宇宙まで植民地を広げられる、っていう超攻撃的かつ頭のおかしい主張をした人。…まんま屍者の帝国じゃん、こんなことを与太じゃなく本気で考えてた人がいて、しかもこれに多大な影響を受けた科学者や文人が一杯いたのに驚愕した。2015/06/02

工藤 杳

0
あ〜楽しかった。 フョードロフの論文で図書館・博物館にかかわる部分はあとで翻訳をしたい。2016/11/08

こんと

0
フョードロフは清廉で、高い共感性を持つ、人一倍罪や他者の痛みに敏感な人物であった。故に善人だけが天国に行くのではなく、悪人も父祖全てが生き返り改心し幸福にならなければ満足できなかった。彼はそれを科学で、人の意志によって為そうというのだ。だが科学的に言ってしまえば死者は何の苦痛も感じないし、全ての人間が"改心"して仲良しこよしできるようにするなんて個性の破壊であり以前存在していた人格、人間は死んだに等しい、なんて考えてしまう私は結局西側の、個人主義、自由主義の人間なのだろうな。2023/12/07

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