内容説明
「らい予防法」廃止から三年半、カミングアウトによる「人間回復」の喜びと、今なお残るハンセン病差別の実態を、森元美代治・美恵子夫妻が克明に語る。元厚生官僚・大谷藤郎氏、予防法廃止当時の厚生省担当係長、ハンセン病専門医、ジャーナリストの証言から、らい予防法廃止の舞台裏、元患者らによる国家賠償請求の背景、彼らの社会復帰を阻害する諸問題、ひいては日本人の心に潜む「弱者疎外」意識を浮き彫りにする。
目次
第1部 実名証言―カミングアウトで「人間回復」つかむ(私の身に起こったこと―森元美代治は語る;結婚・両家で迎え入れられた私―森元美恵子は語る;これからどう生きていくか―森元美代治は語る ほか)
第2部 ハンセン病 行政責任者は証言する(人権より「患者撲滅」を優先した過ち―藤楓協会理事長・国際医療福祉大学学長大谷藤郎さんに聞く;らい予防法廃止の舞台裏―厚生省の元担当係長長田浩志さんに聞く)
第3部 社会をどう変えていくか
資料編―偏見を改め、正しい常識を普及するために(感染症―撲滅から共生の21世紀へ;現時点でのハンセン病に対する公的見解;ハンセン病対策史を資料で読む)