目次
枕―「七郎牡丹」の謎
起―『風流夢譚』・因縁の発生
承―『憂国』・事件の検証
転―『富士』・全貌の開示
結―言挙げと言葉断ちと
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tonpie
3
深沢七郎「風流夢譚」、三島由紀夫「憂国」、武田泰淳「富士」を巡る奇想談。三人の千両役者の「関係」も含めて、何しろ面白すぎて、「文学」に対して後ろめたくなるほどだ。作家たちの言動(強烈なのが多い)、編集者や周囲の証言(作家と関わるのはキツイ)、作品解説とその社会的反響まで、熱いお祭り気分にも通じる文学ムードが、活写・編集・妄想されている。著者にとって、この時代の文学は、文化と政治と事件を絡めた「田舎興行」だったのではないか。通俗的に捉えすぎだと、不快感を持つ人もいるだろう。でも、この本、やっぱり面白い。2020/04/14