内容説明
2009年7月、臓器移植法改正案が成立した。「脳死」を人の死と定義し、本人の臓器提供拒否の意思表示がない限り、家族の同意により臓器を摘出することができるという内容だ。改正の背景には移植する臓器の不足、特に子どもの臓器の不足がある。しかし、脳死が本当に人の死なのかどうか議論が分かれるし、同様の法律を施行している国々でも臓器不足は解決していない。家族だからといって臓器提供を決めてよいのかという疑問も残る。…医療技術が進んだからこその複雑な問題が数多く起こっている現在。自分の生死が自分で決められるかのような状況があり、また、他人の生死を決めざるをえないこともある。本書は脳死・臓器移植のほか「出生前診断」「代理出産」「障害児の治療停止」「尊厳死と安楽死」など、私たち一人ひとりが迫られる生と死の選択について深く追究していく。
目次
第1章 あなたは、薬や医療設備が足りないとき、治療する人を選んでもいいと思いますか?あなたなら、誰を選びますか?―生命倫理、最初の問題
第2章 あなたは、生まれてきた子に重い障害があったとしたら、治療に同意しますか?そのまま死なせますか?―障害新生児の治療停止
第3章 あなたは、生まれてくる子どもに障害があるとわかったとき、その子を産みますか?―「不幸な子どもを産まない運動」と「間違った命」訴訟
第4章 あなたは、代理出産を依頼しようと思いますか?―生殖技術の展開と自然主義vs契約主義
第5章 あなたは、自分の子ども同士の臓器移植を決めることができますか?―自己決定と子どもの権利
第6章 あなたは、治る見込みはないのに、生かし続けられることを望みますか?―カリフォルニア自然死法とクインラン事件
第7章 あなたは、家族が治る見込みがないとき、人工呼吸器を取り外すことに同意しますか?―射水市民病院事件と尊厳死運動
第8章 あなたは、「脳死」は人の死だと思いますか?―「遅れた日本」と臓器移植法成立の意味
第9章 あなたは、臓器を提供しますか?―臓器不足をめぐる問題
第10章 あなたの命は誰のものですか?―医療技術の進歩と人間の生命
著者等紹介
香川知晶[カガワチアキ]
1951年、北海道生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。現在、山梨大学大学院(医学部)教授、東京大学、青山学院大学、明治大学等の非常勤講師。専門はフランス哲学、応用倫理学(生命倫理学、脳神経倫理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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