内容説明
貧しさについに屈伏することなく「精神の貴族」を貫いた、山之口獏の詩と生涯。
目次
1 ルンペン詩人
2 求婚の広告
3 獏さんの詩のつくりかた
4 ミミコの詩
5 沖縄へ帰る
6 精神の貴族
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoko
24
図書館本。「求婚の広告」はとても印象に残る詩だけれど、それについて、著者の言う「鳥やけものや花がことばをもっていたら、きっと獏さんと同じような表現でうたうことでしょう。」に、すごく納得した。上京してから16年のルンペン生活で、畳の上に寝たことは一度もなく、普通の人だったらへこたれたり、荒んだりしそうなものだけれど、周囲から「精神の貴族」と呼ばれたように、貧しさの中にあっても失われない「人間のなかの宝石」をずっと保ち続けた詩人、山之口貘さん。詩を読むと、一見、奔放に書かれたように思われる。→2020/12/05
kochi
18
詩人茨木のり子による、沖縄出身の詩人山之口貘の評伝。非常に優しく上品な語り口。貘さんの奥さんが貧乏を苦に、逃げ出したいと何千回も思ったいう話も、「一度もありませんでした」と語ったとも伝えられていて、どちらが夫人の本心か?誰も分からないけれど、著者の解釈が、本書のトーンを代表しているかも。娘の泉(詩中ミミコと呼ばれる)とのツーショット写真が冒頭にあることとも特徴。岡崎さんの『憧れの住む東京へ』を読んで、貘さんの詩に触れたくなり手に取るが、詩もいくつか挿入されていて、はじめて貘さんの詩を鑑賞するのに良いかも。2023/07/08
はづき
10
詩人ってこんな人のことを言うんだな。2017/11/27
にがうり
7
数年前から虫喰い的に詩集を読むようになりました。最近「山之口貘」という詩人が気になっていたので、手始めに茨木のり子さんがまとめた本書を購入。生涯貧乏で、ルンペン詩人などと呼ばれながら、精神は貴族だった沖縄出身の詩人の生き様や人となりを、かいつまんで理解できました。獏さん、好きになれそう。今、時代が獏さんを求めているようで、獏さんが生きていたら、そんな世相をユーモラスな詩にしただろうなあ。2014/01/26
なみ
4
大好きな茨木のりこさんが紹介する貘さんは、詩はもちろん人柄もとっても魅力的で、あっという間に貘さんの虜に。本書を読了後、本屋に直行。貘さん関係の本を買い占めたい!全集がほしい!そんな欲求にかられたが、ぐっと我慢して一冊だけ購入。寡作な詩人ゆえ、一篇一篇を大切に読んでいきたい。2014/11/05