塵に訊け!

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784887242982
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

俺はロサンゼルスにいた。そのころ俺は二十歳だった。偉大な作家になった自分の姿が見えた。ロサンゼルスよ、ほんの少しでいいから俺のものになってくれ。素敵な街、砂の中の悲しい花。バンディーニよ、人生を知れ。街を歩き回れ。顔を洗え、髪をとかせ、何かいいにおいのするものをつけろ。若き日のバンディーニを描いた伝説のアメリカ小説。

著者等紹介

ファンテ,ジョン[ファンテ,ジョン][Fante,John]
1909年コロラド州生まれ。コロラド大学、ロングビーチ市立大学に通う。短編作家として活躍するとともに、Wait Until Spring,Bandiniなどで長編も手がけた。ハリウッドで映画の脚本家としても活躍し、晩年は糖尿病で視力を失いながらも妻の協力で作品を発表した。1983年に死去

都甲幸治[トコウコウジ]
1969年福岡生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究博士課程、南カリフォルニア大学大学院英文科博士課程在学中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

74
訳者都甲のエッセイから知る。1939年発表の小説。ワスプ以外はみな同等に差別対象だった時代のイタリア系の作家が主人公、ロサンゼルスの底辺の他人種のなかでの生活と恋。短編一つが雑誌に載っただけの彼は若かった。溢れる情熱と空回り。序文を書くブコウスキーが80年代に言及してようやく評価された作家だという。たしかにブコウスキー的などうしようもなさに満ちた、無頼さ。個人的にはドストエフスキーのキャラのようなナイーブさと過剰さを感じた。良書。2018/05/06

ネコベス

34
ロサンゼルスの安ホテルに滞在する作家志望の若者バンディーニ。成功を夢想しながら無為な日々を過ごすバンディーニはある日出会ったカミラに惹かれる。己の不遇に苛まれ不器用にもがく若者の苦い青春を著した小説。本書に心酔したというブコウスキーの序文付き。お調子者で小心、臆病で自意識過剰な青年の愛憎に振り回される生活のみじめさ、切なさをユーモラスかつしんみりと描き出している。2020/11/04

春ドーナツ

15
1930年代に刊行されるも、その直後に出版社が倒産して長きに渡って日の目を見ることがなかった作品が本書だ。ヘンリー・チャールズ・ブコウスキーの尽力がなかったならば、我々は再刊という形で本書を手にすることはなかった。ありがとう、チャールズ。そしてDHCに謝意を。***カリフォルニアなる新天地で「ドリカム」を夢見る小説家志望の青年が主人公だ。訳者あとがきを読んでいて「むべなるかな」と思う。夢が成就したら何が残るのだろう。情熱の残骸。文字通りの腑抜け状態。ギャツビーの心情に重ね合わせることができるかも知れない。2018/08/06

三柴ゆよし

14
その小説がそのとき自分の置かれた状況であるとか心境を自分の言葉以上に雄弁に物語っていると感じることはよくある。いまからさかのぼることすこし昔、ふつうにヒモ的な生活を過ごしていたとき読んだC・ブコウスキーの小説に異様な衝撃を受け、当時の恋人すなわち現在の家人であるが、これとしばし激烈な口論に及んだ際なぞ、とはいえその八割方はわたしの腑甲斐のなさが原因だったのであるが、わたしはいつもこのように叫んだものである。「俺のことクソ野郎なんて言うな! 俺はチナスキー、ヘンリー・チナスキーなんだよ!」(コメントに続く)2011/06/09

インフルエンザ未遂(田仲風太)

11
ヘンリーチナスキーのチャールズブコウスキーが生きていた間に彼がジョンファンテの執筆した本書を読んで神と崇め荒くれた不細工な荒くれた酩酊の隅わ抱きしめる女体の肌身離さず綺麗な抱擁 いずれかの誰かの別人のヘンリーチナスキーやジョンファンテが執筆した作風に毎度顔を出す二十歳のアルトゥールバンディーニよ 書いては書いては素敵な街で砂の城の波乱や 怯える葉巻寄りの被れた煙 触れる酒灼けの酷い憑依する無意味な淋しい酔いどれ 目に浮かぶ乱雑な荒唐無稽気味な文体に 添える羅列された生きる為のもの患い 2018/06/05

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