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責任という原理―科学技術文明のための倫理学の試み (新装版)

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  • サイズ A5判/ページ数 438p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784887139992
  • NDC分類 151.2
  • Cコード C3012

内容説明

今こそ全存在の未来を担う「責任という原理」へ。「希望」とは、確実な裏書きもなしに、現在が未来へ向け振り出した約束手形だ。そして「持続可能な開発」などの耳障りのいい決まり文句が示すように、人類はなお「希望という原理」に浸蝕されたままである。未来への「責任」の強い自覚なしに推進される「希望」は、すなわち悪しき終末への道だ。強権という前近代的な方途を超えて人類の英知を糾合するため、今こそ全存在に対する人類の歴史的責任を告知・論証した本書再読・熟読の時だ。

目次

第1章 人間の行為の本質は変わった
第2章 基礎問題と方法問題
第3章 目的と「存在の中での目的の位置」について
第4章 善(良さ)、当為、存在―責任の理論
第5章 今日の責任―危機にさらされる未来と進歩思想
第6章 ユートピア批判と責任の倫理

著者等紹介

加藤尚武[カトウヒサタケ]
1937年、東京生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。山形大学、東北大学、千葉大学を経て、京都大学名誉教授、鳥取環境大学名誉学長。専攻は、ヘーゲルとドイツ観念論の哲学、生命倫理学と環境倫理学を含む応用倫理学。1978年哲学奨励山崎賞受賞、1994年『哲学の使命―ヘーゲル哲学の精神と世界』(未来社、1992)で和辻哲郎文化賞受賞、2008年紫綬褒章受章、2002年建築協会文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

井蛙

4
人間の技術力が地球全体を覆うようになったとき以来、倫理は非時間的地位から引きずり下ろされるようになる。私たちは未来に対して倫理的問題を考えなければならない。まだ生まれていないものに対しては当然義務-権利という従来の対概念は通用しない。よって未来に対する行為には見返りを求めることができない(私に対する圧倒的な他者という観点はレヴィナスを彷彿とさせる)。ヨナスがそこで導入するのが「責任」という原理であり、その原初的形態は親の子に対する関係であるという。2017/11/21

singoito2

3
明石家さんまは「生きてるだけでまるもうけ」と言い、ヨナスは存在は非存在より「善」いと言う。そのように倫理を存在論に根拠づけた上で、いまにも非存在へ転落しそうな乳飲み子に対する愛と配慮こそ倫理的責任の原理であり、人類と環境が破局に直面する現在、「「成長よりも縮小」これがスローガンでなければならない」と訴える。巻末第5章の厳しいユートピア批判はやがて、失われた未来への慟哭の哀歌のように響く。21世紀の哲学的指針とするにふさわしい著作で、多くの人に読んで欲しい。情熱を感じられる訳業も特筆に値する。2021/04/24

アルゴス

2
責任があるというのはどういうことかについて、具体的な場から考えようとする。分析哲学では「存在」と「当為」の区別を厳密に主張するが、ヨナスは人間の実際の生活においては、存在することがそのまま当為をもたらすことを指摘する。子供をもつということは、すなわち子供がきちんと成長するように配慮するという責任を負うことであり、存在がそのまま当為を生み出す。この地球に生きて、自然の恩恵を受けていることは、ただちに未来の世代にこの自然を破壊せずに伝えるという責任を生み出す。テクノロジーの発達とともに、責任もまた大きくなる。2017/11/23

梅田洋

0
ここに学生時代の集大成がありました。2002/09/25

Kanou Hikaru

0
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