内容説明
「ブックタウン」という新たな可能性。急進するネット社会、若者の活字離れ、地方商店街の凋落等、人々の孤立化・孤独化の趨勢の中、英国や日本で観光化と密接に関係して試みられている「本によるまちづくり」に注目した気鋭の社会学者が、現地調査等により見出した新たな人間交響・共同の可能性が、現代に示唆するものは大きい。
目次
第1部 イギリス・ヨーロッパの古書のまちづくり(古書の町とまちづくり―古書の町ヘイの誕生とブックタウン運動の広がり;ヘイ・オン・ワイの古書店とインターネット―ヘイ・オン・ワイと神田神保町の比較研究の視点から;ブックタウンによる地域経営―本から生まれる滞在型観光のヒント;ヘイ・オン・ワイの古書店街を歩く―古本の魅力)
第2部 日本の古書のまちづくり(本屋仲間―本の文化の担い手としての神田神保町古書店街研究;日本の古書店分布と地方古書の町の可能性―福島県只見町・たもかく本の街を例として;「ブックタウン」という試み―本と観光・まちづくりの接点)
記録:古本屋の生の声(イギリス、インタビュー記録;ベルギー、ルーベン大学インタビュー記録;神保町、インタビュー記録―若手後継者の本音)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tomoaki Kudomi
0
イギリスウェールズ『ヘイ・オン・ワイ』と、『神田神保町』というタイプの異なる古本の町の特徴を比較しながら考察していく本。不忍ブックストリート、西荻ブックマーク、たもかく本の町などの活動はあるものの、日本において『本の町』はまだ手探りの段階。逆に言えば、それだけ先駆できる。『観光は目的ではなく、結果である』という点は、観光を学んでいると忘れがちなポイントなので、しっかりと心に留めておかなければ。大事なのは、住民にとって住みよい町にすること。住みたいと思う町にすること。本の町づくりは、その可能性を秘めている。2014/01/15
わすけ
0
特徴が全く違う神田神保町とイギリスのヘイ・オン・ワイという2つの古書街を代表として、本をキーワードとしたまちづくりの方法論を概説した本です。神保町の古書店の裏事情がインタビューなどを通して語られてます。2009/01/05