出版社内容情報
日本生活学会今和次郎賞受賞(1996年度)京都の大文字を支えてきた地域の生活と信仰を,長期にわたる丹念なフィールドワークに基づいて説き明かし,民衆が国家や資本の大きな流れの中で生きるために,祝祭の類型を作り出していく過程を描く。人類学として生活を見据えるとともに,歴史学や都市論への斬新なパースペクティブを提供している
目次
大文字五山送り火の位置付けと都市人類学
大文字祭礼の記号論的分析
左大文字保存会の左大文字―通過儀礼と社会化
北山金閣寺不動講の左大文字
北山観音講の左大文字―左大文字における北山尼講の民俗と都市祭礼の複合性
市民・旅人の左大文字―大文字信仰の内容分析
市民・旅人からの主体的参加と祭祀組織からの「取り込み」
都市行政から見た都市祭礼―大文字をめぐる市民・旅人の参加の受け皿づくり
左大文字祭祀組織の歴史学―高度経済成長期の社会動態
左大文字における伝統と変化―祭りの高度経済成長史
左大文字地域における社会変動と反文化変容―シンルイ構造・呼称・伝統行事との関連
左大文字の聖俗論と歴史的意味生成
都市人類学と都市祭礼―地域人類学とエスニシティの視角〔ほか〕