内容説明
最大・最初の人権=生きられること。いまや、それさえも危ない!社会学者、弁護士、ジャーナリストがそれぞれ語る、「弱者に冷酷な」日本社会のいまの空気。「この国では、落ちると途中で止まれない。底まで行ってしまう」。あなたも例外ではない。
目次
1 「目指すは最低限度」じゃないでしょう?(立岩真也)
2 じゃ、社会っていうのはなんのためにあるのか(尾藤廣喜)
3 弱者に冷酷な世の中(それは自分に返ってくる)(岡本厚)
著者等紹介
立岩真也[タテイワシンヤ]
1960年生まれ。社会学者。立命館大学大学院教授。ALS(進行性筋ジストロフィー)患者のフィールドワークなどをしてきた
尾藤廣喜[ビトウヒロキ]
1947年生まれ。弁護士。1970年、厚生省入省。1975年、弁護士登録。京都弁護士会高齢者・障害者支援センター運営委員会委員長などを務める
岡本厚[オカモトアツシ]
1954年生まれ。岩波書店『世界』編集長。自覚的な市民社会づくりに資そうとするその誌面づくりは高く評価されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐藤一臣
6
2009年時点で新自由主義が憲法25条の生存権を脅かしていると指摘する書籍だが、10年以上経った今は新自由主義が蔓延り酷い状況だ。新しい理念がなく、トレンドは悪化の傾向。もちろん1%の富裕層問題は盛んに取り上げられているが、一般層の動きは鈍い。そもそも最低限度の生活を基準に生活保護の問題が扱われている現状は進化の一つもなかったようなものだ。何ができるかで価値判断される社会では疲弊感ばかりが蓄積されるし、一過性の余暇だけでは悪夢から解放されないし、本当の自由は生活の余裕が前提になる。2022/01/24
壱萬弐仟縁
1
「安い賃金でこき使えるわけだから、一部の人たちにはものすごくお金がありますよ。一方で極貧な生活を強いられている人たちがたくさんいる。こうなるともう、じゃ社会っていうのはなんのためになるのか、という話になりますよ」(p.082)。そのとおりだと思う。生存権のもつ意味が、今の日本ほどシビアに問われてしかるべき権利はないと思える。2012/05/01