内容説明
ねえちゃんな、人間は本音をはける相手がいることが、いちばん大切なんや。日雇い労働者の姿を通して描く現代社会の忘れもの。ボランティア・ケースワーカーとして18年間労働者の話を聴き続けた女性の釜ケ崎日記。
目次
1 活動の原点(話ができるまで;共食い ほか)
2 無縁仏(アパート捜し―平野さんの場合;古市さん語録―食べるということ ほか)
3 目に見えない労働(存在そのもの―からだを張って生きてきたんや ほか)
4 釜ケ崎学校入学(むだを繰り返すことの大切さ;声の絶対安静 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジェンダー
37
ひょんなきっかけから作者さんのお話を聞く機会がありその後作者さん自身から本を買い、サインを書いていただきました。釜ヶ崎という地名を知りませんでしたが、西成区と言われるとわかります。釜ヶ崎で25年ケースワーカーをされている方が書かれた本何ですが、この本に出会う事が出来て良かったと思っています。今の時代は学歴社会でもあり、境遇次第では平等とは言えない状況です。好きで日雇い労働者になった訳ではないのです。もちろん努力は必要ではあるけれど努力や頑張りだけではどうにもならない事がある事を改めて感じました。2014/02/23
ニャン
8
著者の入佐明美さんの講演を聴く機会に恵まれて、この本にも出会えました。自分の知らなかった世界とそこで生きる人と、入佐さんの人生に衝撃を受けました。どんな人が、どんな生き方が素晴らしいのか、今までの価値観がすっかり変わりました。2015/08/09
ぴよこ
2
人生が変わる位の感動を受けた。本当の強さ、豊かさを考えさせられた。偉い人って、お金持ちなんかじゃない。威張っている人なんかじゃない。職業に貴賎なし。取り組む姿に優劣あり。この言葉を改めて実感した。2014/02/19
ひつまぶし
1
「聴くだけで釜ヶ崎の状況がよくなるわけではない」と無力感を持っていた著者は、やがて聴くこと自体の力に気づく。かける言葉のない時に、何と声をかければよいのか。不可能なことをどう実現していくのか。「閉じこめられるより、ここがいい」と野宿生活を選ぶ女性へのまなざし。今の釜ヶ崎よりよっぽど路上の権利に理解がある。若い時は特に人情話が嘘くさく感じられるのは、いい話に共感して、実際には問題と向き合わないで済ますことを選びたくない潔癖さなのかもしれない。それは理解を示しつつ気持ちよく排除に加担してしまうことだからだ。2021/07/28
takj
0
著者の入佐さんの生きがを感じる 路上孤独死のが、誰か気が付くけど 家での孤独死のが気が付かないでいる社会の閉鎖感に問題も感じる。 声を掛け合う相手がいる大切さかな? 2015/01/01