感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
363
本書は『ペシャワールにて』の続篇。中村哲氏は、パキスタンとの国境近くの山中ダラエ・ヌールに診療所を開設する。この地は行くだけでも十分にたいへんである上に、日本からすればほとんど極北の異文化地帯である。国連組織やNGOも近づこうとはしない。そして、ここではおよそ日本的な感覚がそのまま通じることはない。たとえそれが善意であったとしても。ここで必要とされるのは、長く継続的な時間(そのスパンは日本とは根底的に違う)とひたすらな誠実さだろう。まさに中村氏が有するような。しかも、彼の目的は援助にあるのではなく⇒2022/06/03
ochatomo
16
初著書「ペシャワールにて」の続編 若者向けを要望された「アフガニスタンの診療所から 」の次に出版され、内容はかぶっている部分もあるが、より詳しく事情・心情が綴られて、胸に残る言葉が多い 『過去十年ペシャワールで学んだことの一つは、人間は自分の死さえ虚飾で扮することが可能な動物であるということである』 『今、この壮大な自然の懐の中で、いかに我々が、無用とはいえぬまでも、よけいなものに振り回されて生きているか、よく分かる』 “先生をそこまで駆り立てるものは何ですか”“やむにやまれぬ大和魂ですたい” 1993刊2019/12/30
くろず
5
中村哲さん私の尊敬する人の1人に入りました 会っていてよかった 2020/02/28
plum
1
日本アフガン医療サービス,らい対策1986年設立。抜けるような濃紺の蒼穹のもとに,蝶は中村哲医師を連れてきた。日本の国是は平和だ。良心的事業を持って語らせよ。再建こそがジハードとゲリラたちには語る。JAMSの方針は,日本が何かをするのではない。するのは君たちであり,我々だ(p66)。無思想・無節操・無駄(p208)。社会,人はそれぞれに,侵してはならぬ「神聖な空白」とでも呼べるものを共有し,それに自らの生活から滲み出た言葉で意味を与えようとする(p248)。2022/11/10