内容説明
ポンソ・ノ・タオ(人の島)蘭嶼に生きるタオ族。独自の暦―夜暦の循環のなかで、舟を造り、舟を遭いでトビウオ漁に出、捕ってきた魚と女たちが育てたイモを主食とする生活を、父や祖父の世代は営んできた。本当のタオの男たち。そんな民族が生きる蘭嶼を襲ったのは、中国語による学校教育、大型漁船の乱獲と爆薬漁の横行、戒厳令下の80年代に建設された核廃棄物貯蔵所。そして急速に進む近代化。シャマン・ラポガンの文学は、タオ族の伝統を取り戻すために、現代の知識人として生きる壮絶な闘う文学、それは少数民族タオ族が生んだ人類の奇跡にほかならない。
目次
1章 腹をすかせた子供時代
2章 南太洋放浪
3章 モルッカ海峡の航海
4章 島のコードを探し求めて
著者等紹介
シャマン・ラポガン[シャマンラポガン]
夏曼・藍波安。1957年台東県蘭嶼郷紅頭村(イモロッド)生まれ。タオ(ヤミ)族。淡江大学フランス語学科卒業。国立清華大学人類学研究所修了。人類学修士。国立成功大学台湾文学研究所博士課程退学。国家実験研究院海洋科技研究センター副研究員、財団法人蘭嶼部落文化基金会理事長を務める。これまで呉魯芹散文奨、国立台湾文学館金晶奨などの文学賞を受ける。1988年以来、蘭嶼の核廃棄物貯蔵所に対する反核運動「アニトを追い出せ」運動に従事する。2017年、呉三連文学賞を受賞した
下村作次郎[シモムラサクジロウ]
1949年和歌山県新宮市生まれ。関西大学大学院博士課程修了。文学博士。現在、天理大学国際学部教授。2000年9月~翌年3月国立成功大学台湾文学研究所客員教授。2013年に、草風館の内川喜美子氏と共に行政院原住民族委員会の一等原住民族専業奨を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。