アフリカ文学叢書<br> 石の女

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アフリカ文学叢書
石の女

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  • サイズ B6判/ページ数 228p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784883190355
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

南アフリカ奥地の農場でおきた父親殺し。闇のような孤独のなかで娘マグダの精神に何がおきたのか。コロニアリズムを根底から問い、小説とは何かを問う、辺境で懊悩する自意識の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mishima

33
アパルトヘイト体制で支配する側にあったオランダ系白人作家が描く、アフリカの農家が設定の物語。農家の長女(白人)の一人称で語られる。他の登場人物は父とその家の奴隷たちのみ。彼女が他者と言葉を交わしたとしても、それは意味の交渉ではなく記号のやりとりのこと。次第に彼女は自らの意識の中で己のみと対峙し会話を紡ぐ。つまりは「理解を拒む」独白をたどることとなり、どこにも到達できない閉塞感を味わう。解説にて「能動的な参加」を読者に要するとあった。見えぬ鎖に繋がれた老女は現実と幻の境界線が曖昧となっていく。以下付箋。2016/03/17

tona

5
父と娘、南アの農場、アパルトヘイトと 来れば、この作品から22年後に出版された『恥辱』を思い出さずにはいられない。この作品にも、恥辱へと繋がる多くの要素が見られる。ここでは、広大な土地に女癖が悪い残酷な父と召使いと世界から取り残されたように暮らしている娘マグダの内的世界がひたすら語られる。そして、何が現実で何が彼女の妄想なのか、なかなか判断ができない。そこに潜んでいるのは、狂気であり、孤独であり、憎悪であり、悦びを知らない生々しい肉体の存在なのである。2014/03/20

渡邊利道

3
77年発表の二作目。ナンバーを振った断章形式で、南アフリカの農場を舞台に、その地で生まれた白人女性を語り手に、支配と性と暴力と血肉、父と娘といった主題が交錯する陰鬱な長編。非常に知的に精緻に作られていて読んでいてけっこうな閉塞感がある。2018/04/25

0
ドストエフスキーの父殺しは「息子と父親」の関係性においてだが、これは「娘と父親」におけるもの。マジックレアリスムなのか、はたまたすべて幻想かというほどの支離滅裂な「わたし」の思考世界で物語は紡がれる。ストーリーテリングの責任をまるまる放棄しているようだ。夏目漱石を読む気持ちでは駄作に思えるだろう。確かに、面白かった!という読了感じゃないが、この思考の流れに身を浸す感覚は一読の価値はありそう。あとがきにもあるがクッツェーの立場を実は如実に表しているのではないかとも。2012/10/13

だん

0
たまたま図書館で手に取った一冊。アフリカ文学を読むのはこれが初めて?どこからが妄想でどこからが現実なのか、全て妄想なのか。帯の文句にある「父親を殺した娘」はいるのかいないのか。他人のとりとめのない思考の内を見ている気になる。2011/11/10

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