内容説明
多言語・多文化の混交がいまや世界文学の主流となり、日本にあっては、外国人作家によって日本語で創作された作品が注目を集め高評を得ている。かれらはなぜ日本語で書き、何を表現し、どのような反応と影響をもたらしたのか。被植民者の作家の日本語創作は、どのような政治性・文学性をもちうるのか。日本語文学の現在と可能性を問う。
目次
第1部 外国人の日本語文学(非母語という疑似餌には何が掛かるか;日本語の異化と多様化―リービ英雄のケース・スタディ;リービ英雄の文学―間言語空間の可能性;楊逸の文学いおけるハイブリッド性;田原の詩の日本語;アーサー・ビナードの創作―日本語の表現を拓く;「留学生文学賞」の設立と発展―日本語文学の意味を考える)
第2部 作家たちの発言(良い詩は時空間を超える(田原)
流れるように、自由に書く(シリン・ネザマフィ) ほか)
第3部 植民地遺産から生まれた日本語文学(在日朝鮮人作家の日本語文学;台湾作家呉坤煌の日本語文学―日本語創作の国際的ストラテジー;戦後の創作活動か見る台湾人作家にとっての「日本語」文学―邱永漢、黄霊芝を例として;支配の言葉・融和の言葉―日本語文学という概念をめぐって)
第4部 母語と非母語を超える(「非母語」の日本語で書いた日本人作家;野口米次郎の“自己翻訳”;リーガル・エイリアン―日本語作家の市民権をめぐって;水村早苗の「比較」―『日本語が亡びるとき』のレトリック;スウェーデン語で書くギリシャ人T・カリファレイデス;日本語文学のバイリンガル性)
著者等紹介
郭南燕[カクナンエン]
1962年中国生まれ。博士(人文科学、お茶の水女子大学)。国際日本文化研究センター准教授。専門、日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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