内容説明
神経生理学という19世紀の最新科学を基盤にした新印象派の「分割主義“ディヴィジョニスム”」。色彩の身体的・心理的効果を利用しようとした彼らの実践は芸術創造にとどまらず、日常生活にまで及んだ。スーラ、ピサロ、シニャックら、新印象派の画家たちの、これまで見落とされてきた行為論“プラグマティズム”を論証する。
目次
プロローグ 色彩―芸術と生活をつなぐメディア
第1章 色彩知覚と神経労働―分割主義と一九世紀神経生理学の倫理(能動的な知覚―フェリクス・フェネオンの新印象派批評と神経生理学;「疲労」の管理―補色調和説再考;神経生理学、その生動する「均衡」倫理)
第2章 神経生理学の空間―色彩と運動性(シニャックによる断片表象の戦略的歴史記述;神経生理学における色彩表象の優位性;双眼視と色片、「未完」の生命を表象する)
第3章 新印象派の衛生・医療―その色彩論との交点(水浴と水療法;赤と青―色彩による健康管理;同毒療法の理論と実践)
エピローグ 行為する「均衡」―新印象派のプラグマティズムへ
著者等紹介
加藤有希子[カトウユキコ]
1976年神奈川県横浜市生まれ。1999年早稲田大学第一文学部美術史専修卒業。2001年慶應義塾大学大学院哲学専攻美学美術史分野修士課程修了。2004年よりフルブライト奨学金にてデューク大学美術史表象文化学科博士課程入学。2007年慶應義塾大学大学院美学美術史専攻博士課程単位取得満期退学。2010年デューク大学美術史表象文化学科博士課程(Ph.D.)修了。2011年度立命館大学衣笠総合研究機構ポストドクトラルフェロー(GCOE「生存学」創成拠点)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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