遅刻の誕生―近代日本における時間意識の形成

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  • サイズ A5判/ページ数 361p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784883030835
  • NDC分類 210.6
  • Cコード C1020

内容説明

いつから時計が気になるようになったのか。明治6年1月1日をもって、日本は太陽暦、定時法の社会へと転換した。鉄道、工場、学校における時間規律の導入はいかにして行なわれ、そして、人々の生活をどのように変えていったのか。現在に至るまでの、時間意識の変遷をたどる。

目次

第1部 定刻志向―鉄道がもたらしたもの(近代日本における鉄道と時間意識;一九二〇年代における鉄道の時間革命―自動連結器取替に関連して)
第2部 時間厳守と効率性―新労働管理の発展(近世の地域社会における時間;二つの時刻、三つの労働時間 ほか)
第3部 時間の無駄のない生活―子どもの教育と主婦の修養(子供に時間厳守を教える―小学校の内と外;家庭領域への規律時間思想の浸透―羽仁もと子を事例として)
第4部 新暦と時計の普及―近代的タイム・フレームの形成(明治改暦と時間の近代化;歳時記の時間 ほか)
第5部 時間のゆくえ(農村の時間と空間―時間地理学的考察;「時は金なり」のなぞ)

著者等紹介

橋本毅彦[ハシモトタケヒコ]
1957年、東京都生まれ。東京大学先端科学技術研究センター教授

栗山茂久[クリヤマシゲヒサ]
1954年、香川県生まれ。国際日本文化研究センター助教授
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感想・レビュー

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那由田 忠

23
江戸時代の不定時法の時間から定時法に変わった大変革。鉄道におけるお雇い外国人指導のお蔭で日本の定時運行の力がついたこと。あわせて外国製品の輸入によって、クロックの保有・設置が広がり、やがてウォッチが男性を通じて普及して明治には時間規律が厳しくなるのが分かった。しかし、肝心の「遅刻」分析が工場における規律の記述があったものの、印象が薄い。タイトルは後で決まるから主題でなかったと思うが、学校内における努力意識の分析、今でも皆勤や精勤を奨励することとの関連もあると面白かっただろう。2016/05/14

kitten

14
嫁の蔵書から。今や世界一正確と言われる鉄道ダイヤをもつ日本だけど、当然ながら江戸時代には全然そんなことなかった訳で。学校、仕事に時計が入りこんで、近代化していく中で時間に正確であることを突き詰めていった結果なのかな。明治6年まで、日本は不定時法だった。夏と冬で、「一時」の時間が違っていた。うわー適当だ。太陰太陽暦を操り、海外からの定時法の時計をわざわざ不定時法で示すようにしたり、とんでもなくややこしいことをやってたんだ。「時は金なり」の正しい意味も興味深い。2022/09/19

魚京童!

10
この研究会の自己満足。引用して、それを繋げたものを本にするのはやめてほしい。三元社さんを知らないけれど実力が窺えます。2014/01/28

gorgeanalogue

8
近代的な時間意識を形成・規定してきたのが、鉄道と工場、学校であった。かったるい論文も多いが、時間意識の変容は詩歌にも影響を与えたとする長谷川櫂「歳時記の時間」とそれは最終的には貨幣と時間(利子)に深い関係があるとする栗山茂久「「時は金なり」のなぞ」が面白かった。考え始めると規律と価値、計量化とは何かなど気になってくる。読書論にも応用できるかもしれない。2021/03/22

onaka

6
日の出、日の入りを基準に、季節によって変化する時間感覚の中で、かつ、時間を知る手段が鐘や太鼓という、江戸時代の生活をイメージすると、確かに、何時までに出社せよ、なんていう指示は、ほぼ意味をなさない。そんな曖昧な日本人の時間感覚が、産業の要請や教育、時計の普及などによって、明治以降、いかに変化し、時間厳守の規律として根付いていったかを論ずる。その規律成立過程で実際にあった、工場就業規則の事例や、今ではあり得ない仕事の事例は興味深い。こんな時代を経て現在があるのだなぁ〜という感慨に浸れました。2013/03/26

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