内容説明
誰もが最期まで望むように生きられる社会とは―。2025年、日本は65歳以上の高齢者が総人口の30%を突破する。住み慣れた場所で、長生きを心から喜び合うために必要な「処方箋」とは。笑顔があふれる「終章」のありようを栃木から考えた。生活者の視点を貫き、最先端の在宅ケアの姿だけでなく、自らの終章をデザインする高齢者の生きざまを鮮明に描き出している。第1回「日本医学ジャーナリスト協会賞」大賞、第31回「ファイザー医学記事賞」優秀賞。
目次
第1章 終章を生きる(足音;わが家で;老いのものがたり ほか)
第2章 超高齢社会のあるべき姿は(2025年問題を読み解く;看取りの場どこに…体制整わず「難民続出」か;生きざまを支える在宅ケア)
第3章 豊かな終章へ5つの提言(超高齢社会を認識し「命の質」最重視を;在宅ケアいつでもどこでも可能な体制に;自然な老いを見つめ直そう ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
20
2025年に65歳以上が総人口の30%を越える問題(2頁)。75歳から急速老化する(14頁)。うちの親もそんな感じ。覚悟を決めねばならない。介護の記録を104頁冊子にまとめた人もいる(75頁)。孫に最後の入浴をしてもらい、自宅療養していたゑつさん(76頁写真)。病院で最後を迎える人が多い中、自宅で最後を迎えるのは幸せなことなのかもしれない。102歳でも食べる意欲を持ち続けた宇井俊一さん(122頁写真)。 生きるには食べることが基本。 2014/09/13
マーブル
11
身体の一部を治しても老化は治療できない。濃厚な治療はかえって身体に負担を強いる。治療や処置で安心するのは本人でなく周囲。その人らしい死を迎えるために、在宅診療の普及を目指している医師が語る言葉が考えさせる。超高齢化社会を目前にし、人間の尊厳を守るための取り組みを模索する人々。理想を追い求める姿と、その前に立ちふさがる現実。医療インフラの限界と関係者の無理解。こうなったらいいな、という期待と現実に対する暗澹たる思い。 まずは我々自身が、自らの生と老いについて考え直す必要があるだろう。 2023/03/08