内容説明
ベトナムへの出撃を待ち続ける若き兵士たちに忍びよる不安と孤独の影。それは戦争の泥沼化の中で、迷えるアメリカが投げかける影でもあった。やがて、彼らは息苦しさの中で自分を見失ない、暴走し始める…。ペン/フォークナー賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
2
カーヴァーとともにダーティーリアリズムといわれた作家の中篇。ベトナム戦争に参加する志願兵三人の話。非常に抑えた描写で普遍性のある内容を書くなと感心した。時代や題材はただの材料でしかない。焦燥感と孤独がにじみでている。2012/08/25
Coto+Ri
2
静かに寄り添いながら人間を描ききる。善悪ではなく、ありのまま。ベトナムへ出撃する前の、まだ戦争を知らない兵士たち。彼らの抱える孤独や焦燥、不安が真に迫ってくるとき、わたしもまた、その場に立たされていることに気付く。2011/12/20
okadaisuk8
1
育った家庭に複雑な思いを持つ少年が陸軍に入り、ベトナムへの派兵を待つ間に、兵舎の中で盗難が起きて…というちょっとしたことをシンプルに書いているだけの小説だが、なぜか心がざわつく。とにかくあっという間に読んでしまった。不思議で手強い作品。2020/11/10