出版社内容情報
親子を楽しむ精神医学入門
こどもやその心についての知識は、ずいぶん豊かになりました。脳や心に関する研究は飛躍的に発展し、気軽に相談できる専門家や相談機関も増えています。ところが、「こどもの心が見えない」「今の子は、どう対応していいのかわからない」といった声は、かえって大きくなっています。
情報の洪水の中で、専門的な知識の正しさや価値を見分けるには、どうすればよいか。この本で、私が精神科医としておこなってきた解決方法について、書いてみました。情報の判断や選択は、もし科学的に追究しようとすれば、正直いって専門家でもお手上げです。しかし、忘れてならないのは「人間が生物であり、同時に生活者である」という事実です。
童心に返る。気持ちを汲む。これらができない大人はいません。ただ、これらを「できない」とか「してはいけない」と自己に暗示をかけている人が、少なくありません。ほんの少しゆとりと勇気と忍耐を取り戻して、こどもに寄り添ってみてください。すべては、ふしぎなほど簡単に見えてきます。暗示をとくために、本書が役立つよう、祈ります。
(「はじめに」より一部抜粋)
はじめに
1 味方はきっと近くにいる
すれちがい
フツーであること
正常と異常
幼児虐待
愛情は「水モノ」
虐待への処方
善意からおこるいじめ
遺伝という言葉
優性遺伝・劣性遺伝
赤ちゃんの人種差
母親ができること
育児環境
意識と無意識
2 嘘つきはおとなの始まり
傲慢な専門家
「遺伝と環境」の図式
回復の早い大学生
AC(アダルト・チュルドレン)
嘘つき
こどもの凶悪事件
学習障害ブーム
少年法改正
ADHD
特別扱い
のりりん式5W1H法
精神科薬剤の必要量
3 素直にだまされること
できないままの自分
理性と神話
時間稼ぎ療法
社会性の発達
「私」と「私以外」という区別
愛情の原型
「胎教」の影響
胎児が抱く不信感
親から学ぶこと
パニックという現象
薬剤と心理療法
カウンセリングの副作用
努力と発病
崩れはじめた医学の常識
おわりに
内容説明
こどもが変化したという説もあります。しかし、科学的には、なんの根拠もありません。あまりにも情報が多すぎて大人が混乱をきたしているというのが実情のようです。情報の洪水の中で、専門的な知識の正しさや価値を見分けるには、どうすればよいか。親子を楽しむ精神医学入門。赤ちゃんから大学生まで―世の中にあわせない、専門家だけに頼らないあなたの見守りと支え。
目次
1 味方はきっと近くにいる(すれちがい;フツーであること;正常と異常 ほか)
2 嘘つきはおとなの始まり(傲慢な専門家;「遺伝と環境」の図式;回復の早い大学生 ほか)
3 素直にだまされること(できないままの自分;理性と神話;時間稼ぎ療法 ほか)