内容説明
若き日にブラジルに渡り、かの地で生き抜き、言語的孤立のなかで日本語で書き続けてきた孤高の作家・松井太郎。その代表的作品を編んだ待望の作品集。大河が流れるブラジル奥地を舞台に、日系移民二世の力強い生を通して、日本人が「日本人」でなくなる臨界点を描いた表題作のほか、4つの短編を収録。
著者等紹介
松井太郎[マツイタロウ]
1917年神戸市生まれ。19歳の時、一家でブラジルに渡り、サンパウロ州奥地で農業に従事。ブラジルの手強い大地と気候に、数十年間対峙してきた。還暦を迎え隠居するにあたり、小説の執筆を開始。現在までに中短編20作品超を執筆。90歳を越えた現在も、創作活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ハチアカデミー
17
1936年にブラジルに渡り、戦後もその地で生活する。還暦を迎えた後、小説執筆を始めたという「恐るべき老人」である。若い頃から小説が好きで読んでいたと言うだけあり、文体や作風は日本の純文学であるのだが、描かれる対象がブラジルなのだ。表題作では、移民の男と三人の女の交わりが描かれる。血縁は無いのに、結婚した女の連れ子を抱え生活をする。過去の事件故、各地を転々とせざるを得ない主人公は、やがて大人になった息子に裏切られる。最後まで安定することのない、うつろいゆく生涯が描かれる。ほか、「神童」が良い。2014/03/26
厩火事
7
ブラジル移民について興味を持って調べていたら見つけた本。スタインベック風な文体に最初はきな臭さを感じましたが、グイグイ引き込まれてしまいました。遠いブラジルの風を感じながら読むことが出来ました。2017/12/13
pitch
1
ブラジル文学の流れとか小難しいことは抜きにして、とにかく話がどれも面白かった。こんな作家もいるんだということを、もっと皆に知ってほしいです。2010/09/25
yummyyy
0
おもしろい。2012/08/15