内容説明
日本人を追ってナホトカの氷の海に飛び込んだ犬がいた!シベリアの収容所で日本人抑留者の心を癒してくれた捨て犬クロ。昭和31年(1956)12月24日シベリアからの最後の引き揚げ船・興安丸の出港寸前、クロは興安丸を目ざして岸壁から身を躍らせた!懸命に泳ぎ、氷に這い上がり、海に落ちてまた泳ぐ一途に一心に、クロは日本人の何を追い求めたのか!?目頭が熱くなる感動秘話。
目次
酷地に降りた黒い女神
悠久なる流れ
日本人の誠心
シベリアの土
ダスビダーニャ(さようなら)
氷海に飛び込んだクロ
著者等紹介
独活章[ウドアキラ]
1948年、横浜市生まれ。20代より、雑誌、新聞、TVドラマシナリオ等で健筆を振るう。伝統・文化・風習の研究科でもあり、地域活性化のプランナーとしても活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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散文の詞
90
タイトルからてっきり犬の話だと思っていたら、シベリア抑留のルポがメインで、それなら、どうしてこのタイトルになったのか? シベリア抑留といえば、画家の香月泰男を思い出すが、伝えることの難しさを痛感できます。 これはこれで大事なのだと思います。 このルポの最初と最後だけ「クロ」が出てきますが、その部分だけでもうるうるできるので、このタイトルなら、やっぱりフィクションでもいいから、「クロ」をもっと中心に書いてほしかったです。 惜しいです。 2020/05/08
ゆきんこ
1
クロの話よりもシベリア抑留のルポがほとんどだった。 シベリアの強制収容所にある日突然現れたクロ♀を収容者たちがかわいがる。クロはとても賢い子でバラック棟の火事を察知し知らせて未然に防いだ。日本にクロも連れて行きたかったが検疫の関係などで船に載せられなかった。港を離れる船を追い、クロは氷海に飛び込み離れていく船を追い続けた。船長が船を止め、氷の上に載りあがることのできたクロが歩いて船に近づき、降ろした縄梯子までたどり着け、船上に迎えられた。帰国後、クロは船長玉有勇氏に引き取られ昭和38年まで生きる。 2022/03/30