内容説明
事業に失敗した朴秀生は妻子を残して大阪を出奔し、仙台で義兄が経営する喫茶店を手伝いながら糊口をしのいでいた。当然、仕事に専念できず相変わらず酒を女にのめり込み、どん底の極貧生活から這い上がれないでいた。金の呪縛から逃れるために、さらに金に妄執する朴はついに危険な賭けに挑んで…。頽廃の快楽とそれに抗う彷徨の魂の行方は。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
24
おそらく昭和30年代の著者の自伝的小説。在日コリアンコミュニティーを転々と、刹那的に、時には狡猾に、で、結局絶望的に。饐えた体臭や濃密なフェロモンを感じるプリミティブな登場人物達が、文字通り交雑し、ドメスティックなドラマを生む。似て非なる隣接する異世界。理解は出来るが共感はない、同情するのは礼を失する。でも面白い。主人公に同化して奔り廻るのだ。題名とは裏腹な、胎内は気持ちのいいキリングフィールド。子守唄がきこえる様なゆりかごに辿り着くは幻?2014/03/12
007
17
在日朝鮮人の泥臭く欲望渦巻く世界を描いた作品。生々しいが現実ってこういうものなのかな。2015/05/19
Yukiko
2
女に甘ったれない男が主人公です。これは朝鮮の文化なのかな。この小説に出てくる朝鮮の男は、ぜんぜん女に甘えない。主人公の愛する女は、むちゃくちゃ自立していて、かっこいい。1936年生まれの男が書いた小説ですよ。これ。凄いなぁ。2014/07/13
じょうちゃん
0
ヤン・ソギル大先生節が炸裂なるどろどろ&自堕落な世界。だけど、面白かったわあ〜。キンモリ文庫からの本。ありがとう。2012/08/20
たかゆじ@石原プロは永遠だ!!!
0
ヤンソギル先生の男と女の世界観が丸見えの一冊。ああ、こんな男、よきよ。それにひきかえ・・・・2023/06/04