内容説明
死の輝きが、生命の影を映すとき。太陽の国、エジプト。何千年も前から、いま届いた永遠の物語。最新書き下ろし長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
43
エジプトの神秘性を感じる不思議さがありました。目の前に広がるナイルの景色とその熱気にクラクラきそうです。東洋の匂いとか生と死のエネルギーのようなものを嫌でも強く受け取ります。好きなテーマだったので、もう少し浸れたらよかったなという気はしますが。紀行文学ですが、旅立つ前のエピソードもグッとくるものがあります。エキゾチックな挿絵と美しい写真で実際に旅をしている気分になりますね。2014/09/04
みう
33
【再読】どんなにうまくいかないことがあった旅行でも、どうしてか家に帰って我に戻ると、『ああ、なんてすばらしい旅行だったんだろう！ 夢みたいだった』と思う。 死ぬ時も、そういうふうに思って死にたいな。2023/03/20
みや
31
HIVに感染した男性と、彼の元恋人である男女が３人でエジプトへ行く旅小説。複雑な人物関係と重いテーマでありながらドロドロ感は無く、どんな時も肩肘張らない彼らの穏やかな友情が途轍もなく羨ましい。彼らと共に何千年も在り続く遺跡で目に見える形以上のものを感じたことで、自分が死んだら全て消えてしまうという不安より、自分の「何か」は残るのではないかという希望を、今は強く抱けている。何もかも規模が違い、受け止めるだけで精一杯な彼らは「今この瞬間」を生きていた。悠久の世界だからこそ刹那の価値を感じられるのかもしれない。2018/03/30
白雪ちょこ
14
世界の旅シリーズでは2冊目。 今回は、エジプトへ世界旅行。 エイズにかかってしまった友人の、思い出作りのために海外旅行へと旅立つ主人公達。 作者の、実際の旅行記の写真や物語などなど 、美しい挿絵とともに描かれている。 人の命、死ぬこと、すべてへの美しさ、景色などなど。 生きていても、死んでいても、そこにその人がいたという証が描かれている。 それは巡り巡って、誰かが誰かを思う。 この世界は、素晴らしさでできているのかもしれないということを、深く感じられた。2023/04/14
おかゆ
11
あ、ここで終わり！？とびっくりしたのは、旅から帰ってきて初めて物語が進むものだと思っていたからです。旅がメインだったとは。勝手に期待した私が悪いけど、そういう意味で、肩すかしをくらいました。なんてすばらしい旅だったんだろう、と思って死にたい、というユキコさんに同感。2013/07/28
