内容説明
戦後64年にわたり六千名超の被爆者を診察、放射能の内部被曝の脅威を訴え続ける現在93歳の医師による被爆手記に、書き下ろし「被爆者たちの戦後」を増補。
目次
第1章 破局に向かう日々―広島陸軍病院にて(銃なき軍隊;苦闘する四台の培養器;往くもの、送るもの;一つの「いのち」 ほか)
第2章 広島の消えた日(見よ!広島に紅蓮の火柱が立つ;見よ!一望の焼け野原;地獄からの出発)
著者等紹介
肥田舜太郎[ヒダシュンタロウ]
1917年、広島市生まれ。1943年、日本大学専門部医学科卒業。1945年8月6日、原爆被爆。直後から被爆者救援・治療にあたり、2009年の引退まで被爆者の診察を続ける。1953年、全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)創立に参加。全日本民医連理事、埼玉民医連会長、埼玉協同病院院長、日本被団協原爆被爆者中央相談所理事長などを歴任。1975年以降、欧米を中心に計30数カ国を海外遊説、被爆医師として被爆の実相を語りつつ、核兵器廃絶を訴える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星野七生子
2
広島の被爆者を治療し続けた医者の話です。後半のピカ以後の被爆者の話が衝撃的……。ぶらぶら病もペトカウ効果もこわい。そしてこういうことがあまり知られていないというのはもっと怖いので、陰謀論でもいいから人々は叫ぶべき。福島原発メルトダウン後の社会を生きるために読むべきである……。2011/05/13
井上サーモン
0
増補新版。近藤少尉の手紙の内容が印象的。平らな地形、ひとがいちばん外にいる時間…その部分を読んだときは怖気立った。そんなことを考えつく、にんげん、というものがつくづく厭だ。2011/11/19
くすこ
0
広島勤務の軍医が、原爆の前後におこったことを綴る。葛藤の中、地獄に巻き込まれ、勤めを果たし続ける。いまも地獄は終わらない。終わらないからこそ、訴え続けるのかもしれないと思った。2010/09/21