内容説明
数々の政治抗争、殺人事件…二人の弁論家が如実に描いた、前五世紀のアテナイ社会。本邦初訳。
目次
アンティポン弁論集
アンドキデス弁論集
著者等紹介
高畠純夫[タカバタケスミオ]
東洋大学文学部助教授。1954年福岡県生まれ。1985年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。1998年富山医科薬科大学助教授を経て現職
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感想・レビュー
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roughfractus02
5
寡頭制を支持したアンティポンとアンドキデスだが、裁判での犀利さと人前で演説しない前者は市民に疎まれて民主制復活の際に死刑となり、ソクラテス死刑の年(BC399)に密儀への冒涜の罪で告発された後者は、密告による裁判を恐れる市民によって釈放され、密告者の方が処罰されたという。修辞学の祖である前者の鋭利な模擬裁判の弁論と自らの無実を弁護する後者の素朴な弁論を併せて読むと、噂に左右され、修辞を駆使するより「真実」を素朴に訴える弁論に価値を見出すアテナイの状況では、素朴さや拙さこそ効果的修辞であることが理解できる。2019/08/10